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社説

変わる高校の国語 文学が軽んじられる恐れ

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 高校の国語教育から文学が減っていくことに、文芸誌の「すばる」と「文学界」が相次いで特集を組み、懸念を示している。

 2022年度から実施される新しい学習指導要領は、実用的な文章を重視する方向性を打ち出した。

 議論の的になっているのが、「文学」と切り離して新設される選択科目の「論理国語」だ。現代の社会生活で必要とされる論理的な文章や、実用的な文章を使う。

 グローバル化、情報化する実社会で活躍できる能力の育成が狙いだ。

 扱うのは、報道や広報の文章、会議や裁判の記録、電子メールといったものだという。これまでの国語の概念を大きく覆す。

 今回の指導要領改定は、21年から始まる新しい大学入学共通テストと連動している。17年と18年のプレテストには、生徒会部活動規約などを読ませる問題が出された。

 選択科目には文学作品を扱う「文学国語」もあるが、大学受験を考慮して、ほとんどの学校で「論理国語」が選択されるという見方もある。

 日本近代文学会なども「人文知」の軽視を憂慮し、柔軟な運用を求めている。懸念は当然だろう。

 読書離れへの影響も気がかりだ。昨年の全国大学生活協同組合連合会の調査では、1日の読書時間が「ゼロ」と回答した大学生が半数近くを占めた。また高校時代に「まったく読まなかった」人のうち、現在も「ゼロ」は7割超にのぼる。

 文学は人間の存在と密接にかかわる。多感な時期に、教科書で出合った文学作品が呼び水となり、人生の新しい扉を開くきっかけになることもある。教科書から文学作品が少なくなることで、その機会も減ることになりはしまいか。

 法令やガイドラインの文言を正しく理解し、的確な言葉で他者と相互理解を図ることが大切なのはもちろんだ。しかし、論理だけでは測れないことは世の中にはたくさんある。

 会話や文章の行間を読み取り、他者の立場を想像することが、人間社会を豊かにし、コミュニケーションを円滑にする。それこそ、文学によって養われる力ではないだろうか。

 国語教育は、文化の根幹そのものだ。教育現場だけではなく、社会全体で考えていくことが必要だ。

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