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余録

言いたいことを全て言葉にはできないし…

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 言いたいことを全て言葉にはできないし、仮に思いの丈を何もかも言い表したら全て伝わるわけでもない。話し言葉と書き言葉には永遠のずれがある。そもそも私たちは言葉で思うのか、感じたことを言葉に直すのか▲文部科学省の大学入試改革に合わせ、高校2、3年の「現代文B」が「論理国語」と「文学国語」の選択科目に変わるというので、文学者や教師たちから驚きと反発の声が上がっている。AI(人工知能)全盛時代への対策という▲AIに仕事を奪われない実用的読解力を習得するため、小説や詩歌など文芸は芸術系科目にしようというのだ。教科書の定番だった漱石「こころ」、鷗外「舞姫」、中島敦「山月記」などが論争でやり玉に挙がっている▲確かに電気製品の説明書を理解できないと生活に困るが、例えば論理国語の「最高峰」たる法律の文章は実用文に含まれるのだろうか。世界的数学者の岡潔は、論理の究極とも言うべき数学には美への感性と情緒が不可欠であると説いたものだ▲言葉の実用性が最も求められる分野は、政治と外交かもしれない。日韓は歴史認識や国際法解釈を巡り「何が正義か」「どちらが正しいか」とにらみ合うが、経緯をたどると両国政治家・官僚の誤解や浅慮も少なくない▲政治と外交こそ、言葉の背後に潜む奥行きや可能性、言外に潜む意味を読み解く力が必要だろう。折しも日本では韓国現代文学が静かなブームになっている。論理と文学を区別する発想は多分、国語と社会を貧しくする。

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