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社説

アスベスト規制の強化 実効性上げる取り組みを

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 ビルなどの解体・改修に際して、アスベスト(石綿)を使った全ての建物が大気汚染防止法の規制対象となる見通しになった。

     飛散による近隣住民の健康被害を防ぐため、環境省が来年の通常国会に法改正案を提出する方針だ。飛散防止の強化につながる一歩である。

     石綿を含む建材のうち、除去作業で飛散しやすい吹き付け材や断熱材などは既に規制されている。石綿が練り固められているスレート板や石こう板などが新たに規制対象に加わる。業者には石綿使用の有無の調査と飛散防止対策が義務付けられる。

     石綿は安価で耐火性に優れ、工場や住宅の吹き付け材などに使われた。だが、飛散した細かい繊維を吸い込むと、中皮腫や肺がんを発症する恐れがある。日本は欧州各国に比べて対策が遅れ、ようやく2006年になって使用が原則禁止された。

     石綿は練り固められていても、重機で破砕する場合などに飛散する可能性があることが市民団体などから指摘されていた。環境省の実態調査でも飛散が確認された。大阪府などの一部自治体は、スレート板なども既に条例で規制対象にしている。

     法改正されれば規制の網が全国レベルに広がる。飛散防止対策の実効性をどう高めるかの工夫が必要だ。

     全国には石綿を使った建築物が約280万棟あり、28年ごろに解体のピークが来る見込みだ。法改正によって新たに規制対象となる工事数はいまの5~20倍に増えるという。

     飛散防止の対策費用は従来の工事ほどかさまないが、経験や意識が乏しい業者もあるとされる。作業手引の徹底などの啓発が必要だ。違法な工事をする悪質業者には罰則の強化を検討すべきだろう。

     石綿使用の有無を調べる調査のあり方にも問題がある。業者の知識不足などによる石綿の「見落とし」の事例が指摘されている。

     調査がいいかげんでは、いくら規制対象を広げても意味がない。専門的な講習を受けた資格者がきちんと調査にあたるよう体制の強化に取り組む必要がある。

     来年の東京五輪を控えた建設ラッシュに伴い、首都圏などで古いビルなどの解体が急ピッチで進んでいる。市民の健康被害を防ぐため、対策の強化は待ったなしの状況だ。

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