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社説

サウジ石油施設攻撃 世界経済の混乱を憂える

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 世界有数の産油国サウジアラビアにある石油施設が、攻撃を受けた。

 サウジの産油量の約半分にあたる日量約570万バレルの生産が停止した。原油価格は急騰し、世界に衝撃を与えている。

 サウジの隣国イエメンの親イラン武装組織フーシが犯行声明を出した。だが、米国はイランが直接関与した疑いを強めている。サウジはイラン製の武器が使われたと発表した。イランは関与を否定し、真相は分かっていない。

 背景に2015年から続くイエメン内戦がある。サウジはイスラム教スンニ派の暫定政権を軍事支援し、イランはシーア派系のフーシの後ろ盾となっている。このためサウジとイランの「代理戦争」と言われる。

 ところが、内戦はイエメン国内にとどまらず広がりを見せるようになった。フーシは5月以降、サウジ国内を標的に、無人機による石油パイプライン攻撃などを実行してきた。並行してペルシャ湾では、実行犯が分からない、サウジなどのタンカーへの攻撃が相次いでいる。

 今回の攻撃が起きたタイミングに注意すべきだ。対立関係にある米国のトランプ大統領とイランのロウハニ大統領による直接会談の可能性がささやかれていた時だった。

 6月に安倍晋三首相がイランを訪問し仲介に動いた時にも、大掛かりなタンカー攻撃事件が起きている。米イランの離間を図ろうとする勢力がいるのかもしれない。

 中東では米国の影響力が弱まり、イランの勢力が拡大している。両国の対立が大きな構図としてあり、地域的な争いがそれにリンクし、世界経済に波及してしまったのが今回の事件だ。

 一時的にせよ原油供給量の落ち込みは、イラン革命(1979年)やイラク戦争(03年)など過去の混乱時よりもひどかった。

 米中貿易摩擦で世界経済は既に不安定だ。日本は原油輸入で全体のうち4割近くをサウジに依存している。原油高騰が長期化すれば、物価上昇や株価下落につながり、消費や企業活動は打撃を受け、景気にさらなる悪影響を及ぼす。

 世界のエネルギー供給源発の混乱を深く憂慮する。

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