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地球の肺を守ろう~コンゴ熱帯雨林保護の最前線から(7)民間ビジネス促進を図るTICAD=大仲幸作

コンゴ盆地で伐り出された木材。その大部分が違法に生産された木材であると言われている=2019年7月撮影(大仲幸作さん提供)

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 「オオナカは、コンゴにおいて、まるで〝水を得た魚〟のように仕事をしている」。コンゴ民主共和国環境省のトイランベ次官は、8月28日~30日にかけて横浜で開かれたアフリカ開発会議(TICAD)に併せて来日し、私の派遣元である林野庁を表敬した際、そうコメントしました。私の元上司を含め、同席者が吹き出しそうになる中、私は赤面して頭をかくしかありませんでした。

     もしかしたら新聞やテレビでご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。日本政府はTICADで40カ国を超えるアフリカの国々から首脳を招きました。TICADは今回が7回目。昨今、米国や中国も開催するようになった「アフリカ・サミット」の草分け的な存在です。

     1993年から5年に一度の間隔で日本において開催されていましたが、前回第6回目から開催の頻度を3年に一度に短縮し、アフリカと日本で交互に開催することとなりました。外交だけではなく、経済や安全保障などさまざまな局面でアフリカの重要性が増してきている証しです。

     そうした中、TICADの開催目的も、当初は「国際協力」、特に政府開発援助(ODA)に焦点が当たっていましたが、時代の変遷と共に、アフリカにおける民間ビジネスの推進に取って代わろうとしています。

    TICADのサイドイベントで発言するするコンゴ民主共和国のトイランベ環境省次官=インターコンチネンタル横浜で2019年8月撮影(大仲幸作さん提供)

     私は10年ほど前から、大使館員、国際協力の専門家や農水省職員などさまざまな立場でTICADに関わってきました。最初の頃は「ODAを総額いくら、何倍に増やして〇〇に取り組む」といったことが関係者の間で盛んに議論されていたように記憶しています。それが最近は、「(特に日本の)民間投資を促進するために何が必要か?」そんな風に考え方が変わってきています。すなわちODAから民間投資へ主役が交代し、ODAは民間ビジネスを進めていくための脇役や触媒といった存在になりつつある訳です。

     こうした背景もあり、今回TICADに併せて国際協力機構(JICA)が主催した途上国の森林に関するパネルディスカッションでも、「民間投資の推進」が主要なトピックの一つとして議論されました。そして司会からコンゴの森林・林業分野における民間セクター参入の課題について問われたトイランベ次官は、「汚職」と「安全」を真っ先に挙げ、年明けに就任したフェリックス・チセケディ新大統領の下、最近組閣を終えたばかりの新内閣による対応が必要だとコメントしました。

    キンシャサ動物園のヨウム。中西部アフリカに生息するが急速に数を減らしているため2016年に商業取引が禁止されたが違法取引が後を絶たない=2018年11月撮影(大仲幸作さん提供)

     NGOからの批判ではなく、公開討論会におけるコンゴ政府高官の発言として、これは多少の驚きをもって聴衆に受け止められました。しかし、私は彼のこの率直なコメントの元となっている日ごろの苦悩や将来に向けた決意を、同僚として理解し、また評価したいと思いました。私と同じように感じたのでしょう。会場にいた日本人専門家からも、次官のコメントを称賛する旨の発言がありました。

     「地球の片肺」であるコンゴ盆地では、地方レベルも含め汚職が深刻化し、隣国も絡んだ武装勢力の対立も続いています。その結果、最先端技術に欠かせないタンタルやタングステン等の希少鉱物、地球上ここにしか残っていないような巨木から、ボノボ、オカピ、ヨウムといった絶滅の危機に瀕する野生動物まで…その天然資源の大部分は、報告書の数字に出てこない形で、違法に生産されたり、密猟されたりしていると言われています。次官が今回発言したことは、コンゴの国内問題であると同時に、我々人類全体が理解し、解決すべき課題でもあるのです。(つづく)


    大仲幸作(おおなか・こうさく)1999年に農林水産省入省。北海道森林管理局、在ケニア日本大使館、農水省国際経済課、マラウイ共和国環境省、林野庁海外林業協力室などを経て、2018年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザー(JICA専門家)としてコンゴ民主共和国環境省に勤務。

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