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記者の目

西日本豪雨の教訓 浸水リスク明示、法整備を=林田奈々(岡山支局)

堤防が決壊し、濁流に覆われた倉敷市真備町地区。奥は高梁川=岡山県で2018年7月7日、本社ヘリから加古信志撮影

 豪雨による浸水被害が各地で頻発している。私が取材拠点としている岡山県では、昨年7月の西日本豪雨で住宅約7000棟が浸水、8000棟超が全半壊した。犠牲者は61人(災害関連死を除く)に上り、多くは浸水が原因だった。浸水エリアの大部分は自治体が作成した洪水ハザードマップの浸水想定区域と重なっていたが、十分生かされていなかった。国土交通省は今年7月、不動産取引の時にマップを使って浸水リスクを住民に説明するよう不動産業界に協力要請した。多くの自治体がマップを公表して注意を促すが、「住民任せ」では済まされない。自治体が条例で業者に協力を促すにとどまらず、浸水リスクが漏れなく伝わるよう法整備を急ぐべきだ。

 西日本豪雨で51人(災害関連死を除く)が死亡した岡山県倉敷市真備町地区。自宅が浸水で全壊した亀山智史さん(34)は3年前、土地・建物を購入した時、不動産業者から浸水想定区域内とは知らされなかった。家族は無事だったが仮設住宅での生活を余儀なくされ、「ハザードマップを見ていれば家を建てなかった。家族につらい思いをさせてしまった」と悔やむ。高梁川と小田川に挟まれた同地区は何度も水害に見舞われてきた。地区史を研究する森脇敏さん(78)は「よく浸水した低い土地が宅地化され、知らずに引っ越してくる世帯も少なくない」と表情を曇らせる。

 津波や洪水に備え、多くの自治体がハザードマップを公表し、周知を図っている。だが、岡山県の調査ではあまり理解されていなかった。不動産を購入・賃借する際、どれぐらいの人が気を配るだろうか。宅地建物取引業法では、津波や土砂の災害警戒区域情報は業者が説明すべき「重要事項」だが、洪水の浸水想定区域は明記されていない。そこで全国知事会は今年7月、宅建業法を改正し、「重要事項」に洪水などのハザードマップの説明…

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