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社説

東電旧経営陣に無罪 信頼の回復へ努力継続を

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 刑事裁判のハードルの高さを示した判決だった。

     東京電力福島第1原発事故で、東京地裁は、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣3人に無罪を言い渡した。

     争点は、3人が津波による事故を予見し、被害を回避できたと言えるかどうかだった。判決は3人に予見可能性があったとは認められないと判断した。

     判決は、3人が部下からの報告や会議で巨大津波が第1原発を襲う可能性があることを認識していたと認めた。一方で、こうした報告などは根拠に欠け、事故回避に向けて原発の運転を停止する義務を負うほどではなかったと指摘した。

     刑事裁判で有罪になれば、身柄を拘束されることもある。そのため、民事裁判よりも厳格な事実認定が求められる。切迫感をもって被害を予見できたのでなければ、過失罪の認定には至らない。そこが判断の分かれ目となった。

     問題になった報告は、政府の地震調査研究推進本部が2002年に公表した地震予測の「長期評価」に関するものだ。「福島沖でも巨大津波が起こりうる」という内容だった。

     判決は、この長期評価そのものの信頼性も否定した。

     しかし、この判決により、事故に対する責任がそもそも東電になかったということにはならない。

     事故の背景について、政府の事故調査委員会は政府や東電に「複合的な問題点があった」と指摘した。国会事故調などは「人災」と判断した。今回の判決でそれがくつがえるわけではない。

     1986年のチェルノブイリ原発事故の後、政府や東電をはじめとする電力業界は「日本では事故は起きない」と繰り返した。それでも、事故は起きた。

     電力会社が自然災害を含めたあらゆる事態に備え、安全を最大限に追求するのは当然だ。原発事故がいったん起きてしまうと、人々は故郷を奪われる。福島では事故などにより、今も県内外で4万人以上が避難生活を送っている。犠牲があまりに大きすぎる。

     旧経営陣は無罪判決を受けたものの、東電は組織として信頼回復のための努力を続ける必要がある。

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