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読者コラム「窓」

ご機嫌な時間 笠岡市 平井千秋・71歳 /岡山

 定年を前に、友人と古い旅館に泊まり、そぼふる雨を見つめて話した。

 「これからの人生、どう過ごす?」

 「一つのものを深めたい。母は還暦から書を始め、今も書いているの」

 「私も茶道を楽しむ母を見て、好きなことを見つけ続けたいと思うわ」

 そして、彼女は書を選び、私は日本語の美しさにふれたいと、文章を書くことを選択した。

 母の自分史の聞き書きをしようと思いつく。病院のベッドの脇でノートを手に尋ねる。「お母さんの子ども時代を教えて」「大阪の商店街の真ん中で育った。小学校2年生で銀行へお使いに行っていた」。懐かしそうに答える母。女学校卒業まで書いたところで、「私の履歴書 上」と題名をつけ、冊子にした。「名もない人間の歩みでも、結構面白いじゃろ」。母は枕元に置いて亡くなるまで読み返していた。たった一つの親孝行である。

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