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麻薬と捜査官の終わりなき戦い
(田口俊樹・訳、ハーパーコリンズジャパン 上1400円、下1430円)
米国はひどく病んでいる。麻薬の過剰摂取が交通事故や銃犯罪よりも多くの市民の命を奪う。メキシコの麻薬密輸犯罪組織(カルテル)と米国の麻薬取締局(DEA)の捜査官ケラーとの死闘を20年以上にわたって描き続けてきた米小説家ドン・ウィンズロウさんは、『犬の力』『ザ・カルテル』に続く新作の長編小説の舞台を米国にし、トランプ米大統領や娘婿のクシュナー氏に酷似した人物を登場させた。
麻薬の流入を国境を越えて来る不法移民のせいにし、国境に壁を建設すれば解決すると主張するトランプ氏に怒っているからだ。「麻薬の9割は国境の検問所を堂々と通過している。安っぽい政治的駆け引きに(麻薬や移民を)使い続けることが、許せない」
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