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詩歌の森へ

「レダの靴」の導き=酒井佐忠

 塚本邦雄の短歌に魅せられ歌人となった尾崎まゆみの新著『レダの靴を履いて 塚本邦雄の歌と歩く』(書肆侃侃房)が、塚本ワールドの魅力をわかりやすく伝えてくれる。現代短歌の巨匠の塚本の美意識にあふれた言葉の世界に再び接することができる一冊だ。

 <ゆきたくて誰もゆけない夏の野のソーダ・ファウンテンにあるレダの靴>

 伝説的な第一歌集『水葬物語』の中の一首。「レダ」はギリシャ神話の登場人物で、白鳥に変身させられて数奇な運命をたどる。その「レダの靴」は、果てのない遠い世界への旅路を思わせる。「ソーダ・ファウンテン」は尾崎の青春時代にはよくみられたソーダ水などを売る喫茶店。そして何よりも、「ゆきたくて誰もゆけない夏の野」というフレーズが、尾崎をとらえた。「ここではない、どこか」への憧れだ。それは「人の心を揺さぶる…

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