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女の気持ち

たった一つの実 山口県光市・初田照子(85歳)

 ミカンが数え切れないほど実を付けた。盆過ぎから、日に日に太るのが分かるようだ。あれは4年前。喉頭がんで声帯を摘出し、声を出せない夫が私の手を引いて、庭の隅にあるミカンの木のそばに連れて行った。

 指さした枝にたった一つ実を付けている。いつ植えたのか、木の存在すら知らなかった。初なりだったのだ。真っ先、私に見せて喜ぶ顔が見たかったのだろうか。

 その頃、夫に忍び寄っていた病魔にも私は気付いていなかった。ぼうこうがんの末期だった。間もなく入院、…

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