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岡崎 武志・評『黒い豚の毛、白い豚の毛 自選短篇集』『わたしのいるところ』ほか

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今週の新刊

◆『黒い豚の毛、白い豚の毛 自選短篇集』閻連科・著(河出書房新社/税別2900円)

 中国発の現代SF『三体』が話題になっている。閻連科(えんれんか)『黒い豚の毛、白い豚の毛 自選短篇集』(谷川毅訳)は、別口で中国文学の進境と実力を見せつける。「春には春の匂いがあるべきだ」で始まる表題作がまずいい。貧しい農村の根宝は、29歳で独身。ある日父に、「俺、牢屋に入りたいんじゃが」と告げる。町の有力者が交通事故を起こし、その罪をかぶると言うのだ。恩を売り出世を期待するが、事態は思わぬ方向へ。

 「奴児(どじ)」も舞台は貧しい農村。寝たきりの父を抱え、学校へも行かず牛舎の草刈りで駄賃をもらう少女が「奴児」。いつか黄金という名の牛を買い取りたいと願う。黄金が好きな野菊の野へ出て一身に草を刈る。この叙情的でファンタジー風の描写が素晴らしい。

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