- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷
(1)馳平啓樹『かがやき』(水窓出版)
(2)アンドリュー・ショーン・グリア著、上岡伸雄訳『レス』(早川書房)
(3)石橋毅史『本屋がアジアをつなぐ』(ころから)
「働き」そして「生きる」
「働くこと」と「生きること」。両者はもとより手段と目的の関係にはない。かといって、すっきりイコールで結ぶこともできない点に、今この国の苦しさがあるのだろう。
(1)は実際に製造業に従事する作者の手による渾身(こんしん)の「ものづくり」小説。最終製品ではなく部品ばかりを積み込む港町。無数のパンの上にキャベツとハムを載せ続けるだけのライン作業。使途不明の芝生を養生しながら勤め先の工場の売却を待つ日々……なにかを生み出す仕事に就きながら、生の主導権を奪われている人びとの鬱積が、驚くべき解像度で写し取られる。
この記事は有料記事です。
残り222文字(全文570文字)