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気候行動サミット 若者の危機感に応える時

 16歳の少女の抗議を、世界の指導者たちは誠実に受け止めなければならない。

 国連の気候行動サミットで、スウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさんが、各国の気候変動対策の不十分さを痛烈に批判した。「状況を理解しながら行動していないあなた方は邪悪だ」と、時に涙をにじませながら訴えた。

 グレタさんは昨年8月、独りで抗議行動を始めた。スウェーデン政府に取り組みの強化を求め、金曜日に学校を休んで国会前に座り込んだ。その姿が若者の共感を呼び、学校ストライキは世界に広がった。サミット直前の20日には、世界で400万人以上が参加したとされる。

 背景には、地球温暖化の影響が見過ごせないレベルにまで悪化していることがある。グレタさんも、北欧が記録的な熱波に襲われたことがきっかけだった。米国で銃規制を求めて行動する若者たちの手法を参考にしたという。

 今回のサミットでグレタさんは、各国首脳が関心を寄せるのは「お金や永続的な経済成長というおとぎ話」と断じた。「(対策に失敗すれば)その結果と生きていかなくてはならないのは私たちです」とも述べた。破局を見ずに済む大人世代とは比べものにならないほどの危機感が、今の若者たちにはある。

 地球の気温は上昇を続けている。気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」は、温室効果ガス削減によって、今世紀末までの上昇を産業革命前に比べて1・5度に抑える努力をうたう。その達成には、全参加国が掲げる目標の5倍の削減が必要だ。

 だが、温暖化自体に懐疑的なトランプ米大統領がパリ協定からの離脱を表明するなど、各国の足並みは一様でない。国連のグテレス事務総長はサミットを前に「演説より具体的な行動を」と呼びかけた。

 日本は、その思いを共有できているだろうか。電力供給を石炭火力発電に頼る現状が、世界から批判されている。約70カ国の首脳が出席する一方で、安倍晋三首相は欠席した。

 健やかな地球を子孫に引き継ぐことに異を唱える人はいない。そのためにどのように行動するかが問われている。大人には、若者の申し立てに応える責任がある。

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