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社説

上昇し続ける海面 日本もひとごとではない

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 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、温暖化が海に与える直接的、間接的な影響を予測した報告書を公表した。

 産業革命以来の気温上昇を2度未満に抑える「パリ協定」の目標を達成しても、今世紀末には海面が最大60センチ上がる。対策を取らなければ、1メートルを超す上昇が避けられない。

 世界の氷河や南極の氷床が解けることなどにより、20世紀の100年間で海水面は約15センチ上がった。現在はその速度が倍増している。

 それに伴い、「100年に1度」レベルの激しい現象が、2050年には毎年のように世界各地で起きると予測した。

 報告書は科学的な根拠に基づいている。程度の差はあるが、確実にやってくる危機である。

 ツバルやキリバスなど海抜が低い島国にとっては死活問題だ。こうした国の人々は近い将来、移住も含めた決断を迫られるかもしれない。

 先進国もひとごとではない。海抜の低い沿岸部に発達した大都市に、約6億8000万人が暮らす。

 温暖化で海水温が上がるため、台風が大型化しやすくなる。台風が海面を持ち上げる高潮や、豪雨による河川の増水、堤防決壊などの危険性も高まる。

 日本でも、東京、名古屋、大阪の大都市圏には「ゼロメートル地帯」と呼ばれる低地が広がる。

 東京都は昨年、過去最大規模の台風が東京に上陸したと想定し、高潮の被害を試算した。浸水は最大10メートル、墨田区や江東区では平均7メートルに及ぶ。395万人が影響を受け、政治・経済の中枢にも浸水が広がるという結果になった。首都機能がまひすれば、経済的損失も甚大だ。

 60年前のきょう、伊勢湾台風が紀伊半島に上陸した。東海地方のゼロメートル地帯を高潮が襲い、死者・行方不明者は5098人に上った。その後、各都市で堤防の強化などインフラ整備が進んだが、温暖化という新たな事態が生じている。今の備えで十分か考慮する必要がある。

 IPCCは「氷河や極域で起きていることを遠い話と思わないでほしい」と警告する。温暖化を食い止める努力と同時に、遠くない将来の被害を減らすための対策を着実に進めるべきだ。

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