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労働力不足から外国人受け入れを広げる日本。ですが、その子どもたちの権利は十分に守られていません。解決の糸口は。

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外国籍の子「就学不明」2万1701人 文科省初調査 日本語教育「無支援」は1万1008人

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ボランティアによる日本語教室で学ぶフィリピンからきた3きょうだい=埼玉県越谷市で2019年3月19日午前10時31分、奥山はるな撮影 拡大
ボランティアによる日本語教室で学ぶフィリピンからきた3きょうだい=埼玉県越谷市で2019年3月19日午前10時31分、奥山はるな撮影

 文部科学省は27日、日本に住民登録し、小中学校の就学年齢にある外国籍の子どもの2割弱にあたる2万1701人が、学校に通っているかどうか分からない「就学不明」になっていると発表した。今年5~6月に実施した初の全国調査で明らかになった。また、小中高生などを対象に2年に1度調査している、日本語教育が必要なのに学校で指導が受けられない「無支援状態」の人数も1万1008人に達し、外国籍の子どもに対する教育体制が十分でない現状が浮き彫りになった。

 調査は全国の1741市区町村を対象に実施。今年5月1日時点で住民基本台帳に記載されている就学年齢の外国籍の子ども12万4049人の就学状況と、2018年5月1日時点の自治体の日本語教育の状況を公表した。

 就学不明の内訳は「不在などで就学状況が確認できない」が1万8654人▽「転居・出国(予定含む)して確認できない」が3047人。どこの学校にも通っていない「不就学」も1000人いた。都道府県別で就学不明が多かったのは大都市で、東京都8040人▽神奈川県2382人▽愛知県1999人▽千葉県1564人▽大阪府1516人などだった。

 就学が確認できたのは10万1399人。国公私立の小中学校や特別支援学校に通っているのが9万6395人、外国人学校などに在籍しているのが5004人だった。

 今回の調査では、自治体の対応の遅れも明らかになった。就学不明の外国籍の子どもに対する取り組みを尋ねたところ「特に実施していない」が65・3%を占めた。この他、「就学が確認できない場合、訪問で安否確認や就学案内をしている」が17・0%、「電話をする」が16・5%、「就学案内の書類を継続送付する」が12・3%だった。

 日本人の場合、保護者は憲法で定められた「子どもに教育を受けさせる『就学義務』」を負い、長期欠席は不登校、安否確認できないと「居所不明児」として教委の調査対象となる。一方、外国籍は就学義務がないため対応は自治体にゆだねられ、長期欠席で「除籍」とされたり、安否確認せず放置されたりするケースがある。

 また、日本語教育が受けられていない無支援状態の児童生徒1万1008人を含む「日本語教育が必要な児童生徒」は5万759人(外国籍4万485人、日本籍1万274人)で、16年の前回調査を6812人上回り過去最高となった。

 外国籍の子どもの就学不明を巡っては今年1月、外国人が集住する100自治体を対象にした毎日新聞のアンケート調査で、約1万6000人が就学不明になっていることが判明。文科省が全国実態調査に乗り出していた。【奥山はるな、堀智行】

事態は深刻、支援見直しを

 外国籍の子どもの就学状況に詳しい愛知淑徳大の小島祥美(よしみ)准教授の話 外国籍の子どもの就学状況について、文部科学省が初めて全国調査をしたのは画期的なことだ。今回の調査で、就学不明や不就学について初めて確認した自治体もあるとみられ、日本も外国籍の子どもが教育を受ける権利を保障するスタートラインに立ったと言えるだろう。

 一方、就学不明の外国籍の子どもが2万人超というのは深刻な事態だ。文科省が毎年実施する学校基本調査には、不就学の日本人の子どもを調べる「1年以上居所不明者」の項目があるのに、外国籍は対象外になっている。区別する正当な理由はなく、日本人と同様に追跡調査を続け、居場所を突き止める努力をすべきだ。

 学校における日本語教育の体制を整えるのも重要だ。せっかく就学しても日本語が分からず不登校になり、除籍になってしまう子どももいる。学ぶ機会がないまま大人になってしまうと、就職先は限られる。今回の調査は、単に数を報告して終わりにするのでなく、就学不明や不就学の背景を調査し支援体制の見直しにつなげなければならない。

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