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ぐるっと首都圏・くつろぎの宿

福住楼/上 文豪らが愛した情緒 遊び心ある数寄屋造り /東京

再開業時につけられたという唐破風のある玄関と4代目の澤村恭正社長=神奈川県箱根町塔之澤の福住楼で

 ◆福住楼 神奈川県箱根町塔之澤74

 小田原から箱根登山鉄道に乗り換え箱根湯本駅で降りる。国道1号を早川の上流方面に15分ほど歩く。千歳(ちとせ)橋をわたると、唐破風(からはふ)のある玄関が見えてきた。1890(明治23)年の創業当時はさらに上流の方で営業していたらしい。だが、1910(同43)年8月の大洪水で建物もすべて流され、同年の大みそかに現在の地で営業を再開したという。1世紀を超える数寄屋造りの建物は登録有形文化財にも指定されている。

 木造3階建てで、客室数は17部屋と多くない。室内を案内してくれた4代目の澤村恭正社長(78)が言う。「それぞれの部屋は間取りや室内の造りがすべて異なり、同じ部屋は一つもありません」。円窓の中の障子細工も組み合わせ方もそれぞれ違う。月や星をイメージした装飾、さまざまな木で造られた室内……。遊び心がありながらも日本らしい落ち着きがある。多くの文人が定宿とし、好んで滞在したというのにもうなずける。

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