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社説

安倍政権の中東外交 主体性を発揮しているか

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 サウジアラビアの石油施設への攻撃で緊張が高まる中東情勢を巡り、国連で活発な首脳外交が行われた。安倍晋三首相もその一翼を担った。

 首相は、イランのロウハニ大統領に「建設的な役割」を果たすよう求めた。トランプ米大統領とは「緊密な協力」を確認した。

 日本は米国と同盟関係、イランと友好関係にある。橋渡しを試みたものの、両国首脳の対話を促すような状況ではなかったという。

 対立するトランプ氏とロウハニ師が同じニューヨークの国連の場に居合わせるという好機だった。直接会談が実現しなかったのは残念だ。

 首相は攻撃について米国が主張するイランの責任とは断定せず、イエメンの武装組織の仕業というイランの言い分もうのみにしなかった。

 一方に肩入れせずに緊張緩和を促そうとする姿勢は評価できよう。ただし、仲立ちをするだけで日本の国益を守れるわけではない。単なる橋渡し役にとどまらず、幅広い中東外交を主体的に展開する必要がある。

 言うまでもなく、中東は日本にとって最大の資源供給地帯だ。石油輸入は9割近くを中東に依存し、なかでも最大の輸入元がサウジである。

 サウジの石油施設攻撃によって世界全体の約5%の原油供給が停止されたという。今夏のホルムズ海峡危機に続く深刻な事態である。

 日本はこれまで中東の安全を米国に頼ってきた。欧米や中露が主導したイラン核合意の交渉当事者でもない。独自外交には限界があろう。

 しかし、米国がシェールガス生産などで資源の中東依存度を低める中、日本は米国頼みから脱却した資源外交をいや応なく迫られている。

 イランやサウジに引き続き自制を求めていく。英仏独と協力して安定化策を模索する。中東依存度が日本と同様に高い韓国や半分近くを占める中国との連携も欠かせない。

 米国への忠告もためらうべきではない。イラン核合意から一方的に離脱したトランプ氏を説得し、席に戻す働き掛けを続けるべきだろう。

 イランにも問題はある。レバノンやイエメンでテロに関わる親イラン武装組織への支援を改め、対立解消に向けた努力を促すことが必要だ。

 日本が両国のバランスにばかり腐心するなら板挟みから脱せまい。

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