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社説

公的病院の再編・統合 逆にゆがみを広げないか

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 厚生労働省は再編・統合を促す公立・公的424病院を公表した。

 団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、今後も医療費は増加する。特に日本は諸外国に比べ人口当たりの病床が多く、入院医療費を押し上げていると指摘されている。

 中でも、重症の人を診て医療費も高くなる急性期病床は、必要数を大きく上回る。公立・公的病院は、急性期病床の削減が進んでいないことが課題だった。

 再編・統合で病床数の削減が必要だというのは、理解できる。

 ただし、全国の病院は約8000カ所あるが、約7割は民間病院だ。病床数でみても約6割を占める。民間、公立などを問わず、将来の医療ニーズにあった提供体制を整えることが再編・統合の本来の趣旨だ。

 民間病院の経営にむやみに介入するわけにもいかないため、公立病院など、手を付けやすいところから進める形だ。医療提供体制にゆがみを広げることにならないだろうか。

 公立病院は戦後、離島や人口の少ない地方など、民間医療機関の進出が見込めない地域で医療を提供する役割を担ってきた。今もその役割は変わらない。救急、小児などの採算がとりにくい部門や、災害などの分野を担うことも期待されている。

 近くに他の医療機関がなければ配慮することにはなっているが、対象となった病院の患者にとっては寝耳に水の話だろう。「受診できる病院が遠くなるのではないか」「出産できる病院を探すのも大変だ」などと、不安が生じても無理はない。

 厚労省は、可能な人は入院から在宅に移って訪問診療や介護サービスで支えることも想定する。患者や住民に対して、丁寧な情報提供も必要になってくる。

 再編・統合を強制することはできず、具体的な検討は今後、各病院や都道府県ごとの地域医療構想調整会議にゆだねられる。

 厚労省は今回、比較の対象として民間病院についても同様のデータを取っている。地域医療構想調整会議に示す方針だ。データ公表には病院側の抵抗感もあろうが、オープンに議論した方がよいだろう。

 いまの進め方は拙速だ。民間病院と併せて、地域の医療体制のありかたを検討すべきだ。

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