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研究現場は今

基礎研究基盤の揺らぎ、資金不足や就職難、高学歴ワーキングプアなど、研究現場を巡る問題は顕在化して久しいが、構造的な問題のため、効果的な解決策は見いだされていない。研究者・研究現場・学生はどう模索するのか。大学の町・京都から紹介する。

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研究現場は今

第1部 博士/6 研究と収入、両立で葛藤 文系、常勤ポストでも見通せぬ未来 /京都

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 「京都市内で単身者が生活するには、最低でも月に男性が24万5785円、女性は24万2735円が必要」――。京都地方労働組合総評議会は今年5月、組合員対象のアンケート結果を元にした試算を発表した。京都は物価も家賃も高い。配偶者や子供がいる家庭では、さらに金額が跳ね上がる。

 文系の分野で今年3月に博士号を取得し大学院を修了した男性(33)は、府内の大学で非常勤講師として週に数コマの授業を受け持ちながら、アルバイトも掛け持ちして研究を続けている。妻(35)も研究者を目指して関東の大学院に籍を置いているが、幼い子がいるため、一家は今、京都で生活している。

 妻とは互いが大学院生だった時に結婚した。双方とも学術振興会の研究員として収入があったので決断できたが、非常勤で研究を続けている周りの先輩たちは結婚する余裕すらなかった。「収入がある今でないと、この先いつ結婚できるか分からないという焦りがあった」と振り返る。

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