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余録

江戸時代のビジネス成功物語集である井原西鶴の…

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 江戸時代のビジネス成功物語集である井原西鶴(いはらさいかく)の「日本永代蔵(にっぽんえいたいぐら)」に「昔は掛算(かけざん)今は当座銀(とうざぎん)」の章がある。意味は「昔は掛け払い、今は現金払い」で、三井の越後屋が店頭での現金定価販売により成功した話である▲落語での大みそかの借金取りの攻防でも分かる通り、代金の払いは盆暮れの年2度という掛け売りが普通だった昔である。それを掛け売りのリスクに伴う価格上乗せ(掛け値)なしの現金払いで人気となり、大繁盛した越後屋だった▲では「昔は現金払い、今はキャッシュレス」の節目となるのか。きょうからいよいよ消費税率が10%となる。今回の増税では新たに軽減税率導入に加え、来年6月までは中小店などでのキャッシュレス決済のポイント還元も行われる▲食料品などの軽減税率は据え置きの8%、ポイント還元は中小店が5%、コンビニなどフランチャイズ店が2%という。これらを組み合わせれば実質的な消費税率は10%、8%、6%、5%、3%と、実に5通りも生まれることになる▲書いていてもうんざりする複雑さで、ポイント還元の対象の中小店でも当初から対応できるのは4分の1という。むろん客、とくに高齢者は何が何やら戸惑う方も多かろう。売り手も買い手もともに手さぐり状態での消費増税である▲こと若い世代では政府の狙い通り現金払いが「昔」の話になるのかもしれない。だがお年寄りの多くにとって、複雑すぎる増税対策が詐欺師らにだましの新手口を与えるだけで終わらなければ幸いである。

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