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時代の波にもまれる日本企業や組織を描く「変革」第11部は、04年の球界再編問題から大きく変化してきたプロ野球のパ・リーグに迫る。

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第10部 マルハニチロ/10 「弱者連合」新たな船出

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統合を発表し、握手する田中(左)と五十嵐=2006年12月
統合を発表し、握手する田中(左)と五十嵐=2006年12月

 2005年春、東京都内のホテルに水産関係者らが集まったパーティー会場で、マルハ副社長の高山稔(77)が、ゴルフ仲間のニチロ社長、田中龍彦(78)に近づき、耳元でささやいた。「おれのところも困っている。一緒になれたら一番いいと思っている」

 遠洋漁業を失い苦境に陥ったマルハは、リストラを進める一方で、魚を買い付けて販売する水産商事事業を拡大して収益構造の転換を図っていたが、魚の取れ具合や価格の変動に業績が左右され、不安定な状況が続いていた。高山は早くから、「大きなもうけは出ないが安定した収益を生み出せる加工食品の強化が不可欠」と考えていたが、社内の関心は低かった。「どうしてもクジラ1頭でいくらという漁業会社の感覚が抜けなかった」。そこで目をつけたのが、冷凍食品に強いニチロだった。

 一方、ニチロの苦悩はより深かった。経営悪化で主要取引行の農林中央金庫の管理下に置かれ、「約10年間、新規採用がほとんどなかったので幹部となる人材がいなかった」(田中)。主力事業に育った冷凍食品を中心に加工食品会社として生き残る道もあったが、社員たちには「中小企業になるのは嫌だ」との思いが強く、手を組む相手を探っていた。「勝ち組」とは言えないマルハであれば、「一方的にのみ込まれることはない」との算…

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