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SUNDAY LIBRARY

小林 聡美・評『樹木希林のきもの』『伊藤まさこの買いものバンザイ!』

◆『樹木希林のきもの』別冊太陽編集部編(平凡社/税別1800円)

◆『伊藤まさこの買いものバンザイ!』伊藤まさこ・著(集英社/税別1600円)

 樹木希林さんに関するたくさんの本のなかで、しみじみ見入ったのが別冊太陽編集部編『樹木希林のきもの』だ。

 希林さんの着物姿はとても個性的で、メディアでその姿を拝見するたびに、カッコいいなあと見惚(みと)れていた。着物は高級なもので、ルールがあって、着るのも難しい、という常識から、もっと自由に楽しんでいいものなんだ、と私たちに気づかせてくれた。ただし、その楽しみ方こそセンスが問われることで、希林さんのそれは、ものを最後まで生かしきる、というところにあった。希林さんはものを買わない、溜(た)めない、という精神を貫いていたそうだが、唯一、着物だけは「悦(よろこ)び」として所有することを自分に許していた、と娘の也哉子さんが書いているように、一冊の中に溢(あふ)れんばかりに希林さんの着物が登場する。そしてそのどれもが、布たちが一番いい場所で生きるようにと、ほどいてほかの着物と縫い合わせたり、帯に作り替えたり、ひと手間もふた手間もかけたものばかりだ。

 また、着物だといまいちなものも洋服にすると輝くものがあることに気づき、そんなふうにしてできたドレスも30着を超える。着物地を洋服にするようになってから、人前に出るときも気後れも気兼ねもなくなって、気持ちが楽になって何の心配もなくなった、と話すように、布地の持つ力は希林さんに勇気を与えていた。そんなエネルギーを希林さんに注入していた圧巻の着物、そして、それを所有していた希林さんのパワーにもあらため…

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