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岡崎 武志・評『開高健のパリ』『本屋がアジアをつなぐ』ほか

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今週の新刊

◆『開高健のパリ』開高健・著、写真・山下郁夫(集英社/税別2000円)

 1959年、みすず書房から美術全集『現代美術』が刊行開始。「ユトリロ」の巻は開高健が文章を寄せた。『開高健のパリ』は、それをもとに再編集。ユトリロの絵、開高のパリについてのエッセーを加えた。写真は山下郁夫。

 開高は60年冬に初めてパリの地を踏み、この街が好きになった。同じく詩情と憂愁の街を描き続けたのがユトリロだ。ところが開高は、傑作が描かれたのは若き日の十数年と裁断。衣食足りて「いたましい駄作、凡作ばかり」と手厳しい。

 若きユトリロ「白」の時代。その「白」に「静謐(せいひつ)さと、単純さと、ひそやかなよろこび」を開高は見いだす。きわめて文学的な鑑賞法だ。また、「創った人の汚泥にまみれた心を知らなくてもいい」ともいう。ユトリロに、若き日の自分を重ねているのだ。

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