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余録

黒船来航の直前のことだ…

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 黒船来航の直前のことだ。蘭学を学んだ勝海舟(かつかいしゅう)が唐津藩から大砲製造を頼まれ、自ら設計して鋳物(いもの)業者に発注した。数日後、家に鋳物師が訪ねてきて、持ってきた包みを「お神酒(みき)料でございます」と差し出した▲中身を聞くと300両の大金で、1000両の製作費のうちこの程度を発注者に渡すのがしきたりという。その分は材料の銅の質を落として捻(ねん)出(しゅつ)すると聞いた勝は、怒るでもなく俺は要らんからちゃんとした材料を使えと突き返した▲この話が当の鋳物師から幕閣に伝わり、勝の出世の道が開けたというから歴史的にも重要な逸話(いつわ)といえる。で、こちらの人たちは小判やら菓子の下の金貨やらも受け取っていたという。何ともはや、それが現代の話だから仰(ぎょう)天(てん)である▲関西電力の20人に原発が立地する町の有力者から3億円を超える金品が渡っていた例の話である。うち常務と元副社長は1億円以上もの金品を渡されたという。それも脅されるのでやむなく受けたとの被害者然とした記者会見だった▲この金品、元は原発関連工事の受注業者から有力者に渡った金である。関電の人たちは勝のようにどうやって「お神酒料」を捻出したか問いたださなかったらしい。企業倫理の底が抜けると「原発マネーの還流」も認識できぬようだ▲厳重注意などの軽い処分、自らも金品を受けたトップの続投表明にもあきれた。勝は周囲に左右されない自身を「世の中に無神経ほど強いものはない」と評したが、関電経営陣が学ぶべきはそこではない。

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