「書物と音楽」 村上春樹、人生における二つのカギ
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「村上春樹は音楽のプロである」――こう言って驚く人は今や少ないかもしれない。コアな村上ファンにはあまりに周知の話で、何を今さら、とぼけたことを……とあきれられてしまうだろうか。でも、日本の、いや世界の現代文学を代表する作家の近況を随時記録し、紹介していく当コラムの初めに、この事実を明記しておくことは意味があると思う。
音楽の話題を持ってきたのは他でもない。一つには、昨年から村上さんがラジオ番組「村上RADIO」(TOKYO FMなど全国38局)でディスクジョッキー(DJ)を始め、音楽に対する愛と知識を全開で披露するようになったからだ。今年6月には、リスナー150人を招待して東京で公開録音イベント「村上JAM」も開いた。JAMはジャムセッション、すなわちジャズにおけるミュージシャン同士の自由な即興演奏を指す。収…
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村上春樹をめぐるメモらんだむ
現代作家として国際的に高い評価を受けている村上春樹さん。小説の執筆だけでなく、翻訳に、エッセーに、ラジオDJにと幅広く活躍する村上さんについて、最新の話題を紹介します。
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筆者
大井浩一
1987年入社。東京学芸部編集委員。1996年から東京と大阪の学芸部で主に文芸・論壇を担当。村上春樹さんの取材は97年から続けている。著書に「批評の熱度 体験的吉本隆明論」(勁草書房)、共編書に「2100年へのパラダイム・シフト」(作品社)などがある。