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楽庫・アーティスト

上原ひろみ 色鮮やかな里程標

 <楽庫(らっこ)>

 演奏家が自己の楽器に向き合うとはどんなことなのであろうか。作家が万年筆を手に取るのとはまったく違う。レーサーがレーシングカーに乗り込むのとも違うであろう。それらは、あくまで道具である。万年筆がだめならボールペンがある。遅い車でもレースはできる。だが、楽器がなければ演奏家はただの人である。演奏家は、表現するに当たり、まず楽器に「お伺い」をたてなければいけないのだ。「お伺い」でなければ、せめて「対話」。上原ひろみは、10年ぶりのソロピアノアルバムを発表した。どんな会話があったのだろう。

 新作「スペクトラム」(ユニバーサル)は、今年の2月、米カリフォルニアで録音した。「20代の終わりに…

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