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余録

権威を皮肉ると横やりが入る…

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 権威を皮肉ると横やりが入る。17世紀のフランス宮廷でも、ご多分にもれなかったようだ。国王ルイ14世の庇護(ひご)を受けていたモリエールの風刺喜劇「タルチュフ」は、初演と同時に上演禁止処分の憂き目にあった▲信仰心のあつい宗教家を装い、金持ちに取り入るペテン師タルチュフの姿を借りて当時の聖職者たちの偽善ぶりを痛烈に皮肉った。1664年、国王がベルサイユ宮殿で催した「秘密の島の歓楽」という供宴の場で演じられた▲教会関係者が不快に思ったのももっともだろう。当時、教会は国王以上に権力があった。国王も政治的なそんたくをせざるを得なかったに違いない。モリエールは、国王に請願書を繰り返し送った。晴れて許可されたのは初演から5年後だ▲いまやモリエール作品の中でも上演回数が多い人気作品だ。国や時代を超えて響くのは、彼の鋭い観察眼が生んだタルチュフ的人間がどこにでもいるということの裏返しだろう。その「タルチュフ」を仲代達矢さん率いる無名塾が上演する▲今月末から石川県の能登演劇堂を皮切りに、東京などで78ステージ。86歳の仲代さんが、タルチュフに初役で挑むのも話題だ。多感な時期に戦争を経験し、戦争の欺瞞(ぎまん)や、権力に翻弄(ほんろう)される人間の弱さや愚かさを身をもって知る▲見回せば、かんぽ生命保険の不正販売や関西電力幹部の金品受領問題など、詐欺まがいやごまかしがあふれる世の中である。モリエールの笑いをまぶしたトゲが、今の日本にどう刺さるか。

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