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社説

香港の緊急法発動 反発高める強引な手法だ

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 香港の林鄭月娥(りんていげつが)行政長官が「緊急状況規則条例(緊急法)」を発動し、デモ参加者が顔を隠すことを禁じる「覆面禁止法」を施行した。

     立法会(議会)を経ない超法規的措置に市民の反発が高まるのは必至だ。混乱収拾を目指すなら強引な手法を改め、対話路線に戻るべきだ。

     緊急法は英領時代の法律だ。発動されるのは1967年に文化大革命の影響を受けて左派が主導した大規模な反英暴動以来という。

     行政長官に例外的な特権を与えるものだが、「1国2制度」を法的に支える香港基本法はそうした権限を認めておらず、「憲法違反」に近いとの批判もある。

     香港政府はデモ参加者がゴーグルやマスクで顔を隠していることで違法行為の追及が困難になり、暴力がエスカレートしていると主張する。

     欧米にも覆面を禁止する法律があることは確かだが、議会を通じた立法措置に基づくものだ。「緊急法に基づく措置と比較すべきではない」という民主派の主張には理がある。

     容疑者の中国への移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する抗議運動は6月の大規模デモ以来、100日を過ぎても収束の気配がない。林鄭氏は9月に正式に改正案の撤回を表明したが、警察とデモ隊の衝突は激しさを増している。

     警官の発砲で高校生が一時重体になる事態も起きた。覆面禁止法に反発する抗議デモでも14歳の少年が足を撃たれ負傷したという。

     デモ隊の一部が過激化していることも確かだ。集団で警官を襲うような暴力は認められない。

     しかし、林鄭氏は市民との対話集会を開いたばかりだ。その直後に緊急法発動という強権策を取るのでは信頼は取り戻せない。警察の暴力を調査する第三者委員会の設置など民主派の要求に歩み寄る姿勢を見せない限り、デモの沈静化は望めない。

     中国は林鄭氏が譲歩が必要と判断すれば、それを認めるべきだ。「1国2制度」を尊重するというのなら、圧力をかけたり、介入したりすべきではない。

     長引く抗議活動は国際金融都市、香港の経済にも深刻な打撃を与えている。民主派も暴力のエスカレートを望んではいまい。ここは林鄭氏が一歩後ろに引くべきだ。

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