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廣島からヒロシマへ

(4)奪われた知の拠点

門柱だけが残った広島文理科大学理論物理学研究所(現広島大学東千田キャンパス・爆心地から1600メートル)。ほとんどの研究員が死傷し、研究は全て中止となった=1945年9月11日前後、山上圓太郎撮影

広島大旧理学部1号館

 「平和に関する教育研究と情報発信の新たな拠点としての整備を推進していく」。広島市の松井一実市長(66)は3選を果たした直後の2019年4月、市政運営の記者会見で、現存する最大規模の被爆建物である広島大学旧理学部1号館(広島市中区)の活用に言及した。

 この建物の保存と活用は長年の課題だ。1929(昭和4)年に開学した広島文理科大(広島大の前身)の本館として31年に完成し、さらに2年後に改築された。鉄筋コンクリート3階建て、延べ床面積約8500平方メートル。爆心地の南東約1.4キロで、被爆時には本土決戦に備えた中国地方総監府が置かれていた。戦後に補修された後も負傷者が逃げる際に付けた血痕が残っていたという。1991年に理学部が東広島市に移転した後、何度か持ち上がった保存・活用の計画は財政難などから実現しなかった。

 被爆前の広島文理科大は広島高等師範学校(広島高師)と門を共用し、広島の「知の拠点」だった。日本の理論物理学の中心で、1944(昭和19)年には「理論物理学研究所」(理論研)が設置された。毎日新聞の山上圓太郎記者が被爆1カ月後の1945年9月11日ごろに撮影した写真には、門柱に「理論物理学研究所」の看板が掛かるが、木造の建物は焼失し職員も死傷。研究所の機能は止まっていた。

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