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兵庫・淡路市が江戸初期の寄贈住宅取り壊し検討 子孫「壊さないで」と反発

岡田鴨里=神奈川県立歴史博物館提供

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 兵庫県淡路市が33年前に幕末の儒学者、岡田鴨里(おうり)(1806~80年)の子孫から寄贈を受けた江戸時代初期の庄屋屋敷の取り壊しを検討している。鴨里の生家の一部で、屋敷を活用した宿泊事業が9年前に終了し、荒廃が進む。鴨里の子孫でチベット学者の石浜裕美子・早稲田大学教授(57)=東京都=は「寄贈者の遺志に反する」と反対し、「建物の価値を認めないなら時価で売ってほしい」と市教委に申し出た。

 鴨里は淡路島(淡路市王子)の庄屋に生まれ、京都で頼山陽に師事。山陽の死後、師の「日本外史」を書き継いだ「日本外史補」を著し、勤王運動に影響を与えた。

 屋敷は17世紀初期の建築で、木造2階建て延べ約440平方メートルで、高さの異なる四つの屋根が特徴。鴨里が育った母屋は明治期に取り壊され、生家の中で唯一現存する建物で、ひ孫の女性が1977年に死去。跡継ぎがなく、女性の遺志により、86年に旧津名町(現淡路市)に寄贈された。敷地は生前の66年に寄贈し、町が鴨里生家跡の碑を建てている。

岡田鴨里ゆかりの屋敷の保存を訴える石浜裕美子・早大教授。屋敷は壁がはがれ落ち、荒廃が進む=兵庫県淡路市で2019年9月13日午前11時32分、山本真也撮影

 町は88年から、いろりなどを使って昔ながらの生活を宿泊して体験する「レトロ体験村」として活用したが利用者が減少。旧津名町も含む合併で誕生した淡路市が2010年度に事業を終了した。

 壁のしっくいがはがれるなど荒廃が進み、市教委は9月、「安全面から更地が選択肢の一つ」として、寄贈者の女性とは別系統の子孫で、鴨里の研究をする石浜教授に取り壊しを相談した。

 石浜教授は保存を訴え「壊すなら、鴨里顕彰の場として自分で整備していく」と購入を申し出た。「文化財を守るべき市教委が、必要な補修をせずに荒廃させた末に取り壊すと言い出した。大切に守ってほしいと寄贈した子孫の思いを踏みにじっている」と怒りを隠さない。

 市教委は「レトロ体験村に改修した際に、文化財的価値は失っている可能性が高い」とし、富永奈緒美・教育部長は「鴨里の顕彰は新設する図書館にコーナーを設けるなどして別途進めていく」と説明。購入の申し出について「正式な申し出かどうか判断しかねる。屋敷をどうしていくかは、まず地元の意向を聞きたい」と話す。

 石浜教授は9月、地元の人ら十数人と「岡田鴨里顕彰会」を創設。顕彰のイベントを計画するなど屋敷の保存運動を始めている。【山本真也】

岡田鴨里

 1806年、淡路島の庄屋の四男に生まれ、京都に出て、頼山陽に師事。歴史書の「日本外史」の編さんを手伝う。山陽の死後、高弟として師の遺志を継いで日本外史を補完する「日本外史補」を書き上げた。後年は阿波(徳島)藩の藩儒(藩主に仕える儒学者)となり、洲本学問所教授などを務めた。80年に病没。

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