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「めでたく受賞しました」 ノーベル化学賞受賞の吉野さん 興奮した表情

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ノーベル化学賞の受賞が決まり、花束を手に笑顔を見せる吉野彰旭化成名誉フェロー=東京都千代田区の旭化成東京本社で2019年10月9日午後7時23分、手塚耕一郎撮影

 スウェーデン王立科学アカデミーは9日、2019年のノーベル化学賞を、旭化成の吉野彰名誉フェロー(71)▽米テキサス大のジョン・グッドイナフ教授(97)▽米ニューヨーク州立大のスタンリー・ウィッティンガム特別教授(77)――の3氏に授与すると発表した。携帯電話やパソコンなどで充電して繰り返し使えるリチウムイオン電池を開発したことが評価された。

 王立科学アカデミーは授賞理由を「リチウムイオン電池はあらゆる物に使われており、私たちの生活に革命を与えた。太陽光や風力から多くのエネルギーを蓄えることができ、化石燃料のない社会の基盤を築いた」と説明している。グッドイナフ氏は最高齢のノーベル賞受賞者となる。

ノーベル化学賞の受賞が決まり、笑顔を見せる旭化成の吉野彰名誉フェロー=東京都千代田区の旭化成東京本社で2019年10月9日午後6時51分、佐々木順一撮影

 吉野氏は発表直後の午後6時50分、東京都千代田区の旭化成東京本社で取材陣の前に現れ、「19年のノーベル化学賞をめでたく受賞しました」と興奮した表情で喜びを語った。

 ウィッティンガム氏は1970年代に、電池の「正極」(プラス極)の基礎となる材料を開発し、グッドイナフ氏は80年に異なる材料を用いて正極を改良した。

 旭化成の研究員だった吉野氏は85年、未解決だった「負極」(マイナス極)にリチウムイオンをためることができる炭素素材を採用し、商業生産が可能なリチウムイオン電池を初めて作り上げた。

 これらの成果によりリチウムイオン電池は91年以降、ソニーや旭化成で商品化された。

 リチウムイオン電池は、さまざまな機器に使用が可能だ。また小型で軽いため、ノートパソコンやスマートフォンなどのIT機器の普及に貢献し、「モバイル革命」の原動力となった。近年は走行時の排ガスのない電気自動車にも搭載され、環境汚染防止の点からも注目されている。

 リチウムイオン電池の世界市場は11年ごろに1兆円を超え、市場調査会社・富士経済によると、18年が約4兆円で、22年には7兆円を超える見込みという。

 日本からのノーベル賞受賞は、昨年の本庶佑(ほんじょたすく)・京都大特別教授に続き2年連続。合計で27人目(米国籍の2人を含む)、化学賞では8人目となる。

吉野彰氏=長谷川直亮撮影

 授賞式は12月10日にストックホルムであり、賞金900万スウェーデンクローナ(約9700万円)は3人で等分する。【信田真由美、柳楽未来、千葉紀和】

吉野彰(よしの・あきら)氏

 1948年、大阪府吹田市生まれ。同市立千里第二小、同市立第一中、同府立北野高卒。70年京都大工学部卒。72年京大大学院修士課程修了後、旭化成入社。同社川崎技術研究所第一研究室に所属していた85年、リチウムイオン電池の開発に成功。2003年同社グループフェロー就任、05年大阪大から工学博士を取得した。同年、同社吉野研究室長に就任。17年7月から名城大(名古屋市)教授を務める。同年10月から旭化成名誉フェロー。

 リチウムイオン電池を開発した業績に対し、01年度新技術開発財団市村産業賞功績賞、02年全国発明表彰・文部科学大臣発明奨励賞、04年紫綬褒章。11年材料科学技術振興財団山崎貞一賞。13年ロシア・グローバルエネルギー国際賞。14年全米工学アカデミー「チャールズ・スターク・ドレイパー賞」。18年国際科学技術財団日本国際賞。19年欧州特許庁欧州発明家賞。

リチウムイオン電池

 プラスの電気を帯びたリチウムイオンが、充電時には正極から負極へ、放電時には負極から正極へ移動することによって機能する。電極の劣化は少なく、繰り返し充電しても能力が落ちにくい。電圧は約4ボルトで、1・5ボルトのアルカリ乾電池の約2・7倍。ため込める電気の量も多いため、小型軽量化が可能になった。

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