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長期入院の励みになれば… 小児がん経験者の道化師、病棟訪問続けて10年

女児にバルーンアートを贈る林志郎さん(左)=福岡県久留米市旭町の久留米大学病院小児病棟で2019年10月8日午後2時52分、高芝菜穂子撮影

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 小児がんの経験者としての思いを胸に、道化師(クラウン)として小児病棟の訪問を続けている北九州市八幡東区、林志郎さん(41)の活動が10年目を迎えた。今月上旬には林さんも3年間、入通院した久留米大学病院小児病棟(福岡県久留米市)をクラウン仲間2人と訪れ、マジックやバルーンアートなどを披露。入院中の子供に笑顔と希望を届けた。

皿回しを披露する林志郎さん=福岡県久留米市旭町の久留米大学病院小児病棟で2019年10月8日午後2時2分、高芝菜穂子撮影

 「いくよー、せーの」。クラウン姿で小児病棟に登場した林さんが軽快な音楽に合わせてボール3個をお手玉のように操ると、大きな拍手が起きた。病室では映画「リトル・マーメイド」が大好きな女児に風船でキャラクターを作ってプレゼントした。

 林さんは6歳の時に急性リンパ性白血病を発症。長期入院で退屈な日々の中、テレビで見たパントマイムに魅了され、練習して、年下の子供たちに披露するようになった。治療で小児がんを乗り越えて大人になり、2009年からは病棟にクラウンを招く活動を始めた。「長期入院では一日が長く感じ、泣いたり痛かったりしてつらい時間も多い。でもクラウンが病棟に来ると空気が明るくなった」とその力を語る。

 末期がんの少年との交流や病棟を訪問してくれたクラウン歴20年以上の師匠の勧めから自らクラウンになることを決意。10年10月、「クラウン・シロップ」の名で同病院で初めて活動した。それからは毎年、同病院を訪問。九州がんセンター(福岡市南区)や関東の病院なども含め、計30回以上活動してきた。

 林さんたちのショーを見た福岡県大牟田市の山口昇輝さん(6)は「楽しかった。バルーンアートのやり方を教えてもらいたい」と興味津々。母真依さん(26)は「普段は遊ぶ機会が少ないので、こういう機会があって子供の喜ぶ顔を見ることができてうれしい」と話した。別の男児からは「どうやったらできるようになるのですか」との質問も飛び、林さんは「人の3倍は練習した」と答えた。「入院すると今までできていたことができなくなる喪失感が大きい。でも、例えば皿回しができるようになると普通の子より喜びは何倍も大きい」と子供たちに技を教える時間も大切にしている。

 消防設備士として自営業をしながらクラウンを続ける林さん。「今日出会った子供たちが病気を乗り越えて大きく成長したら、病気に悩む子供たちに何かできることがないかなと思ってほしい。後に続く後輩が一人でも増えればうれしい」。そう願いながら、これからも治療中の子供や家族に寄り添っていく。【高芝菜穂子】

ショーに臨む林志郎さん(中央)=福岡県久留米市旭町の久留米大学病院小児病棟で2019年10月8日午後1時51分、高芝菜穂子撮影
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