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余録

地球上にいる無数の虫の中から選ばれたのは…

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 地球上にいる無数の虫の中から選ばれたのは、その名の効用もあるだろう。「C(シー)エレガンス」。優雅に泳ぐ姿が由来ともいう。世界中の研究室で実験に使われている線虫の一種だ▲分子生物学の泰斗、シドニー・ブレンナー博士は1963年、生物の発生過程を調べるため、体長1ミリのこの線虫を使うことを提案した。どの細胞がどう分裂するか、どの神経がどんな行動を担うのかを20年かけて調べ、精密な生命地図を作った▲高等生物だが構造がシンプル。体が透明で観察しやすい。飼育が簡単なうえ、生きたまま凍結保存できる。謎の多い生命現象への答えが、この「生きた試験管」から次々と生まれた。オワンクラゲから発光物質を見つけた下村脩(おさむ)さんのノーベル賞にも、Cエレガンスが貢献した▲来年には、この線虫の鋭い嗅覚を利用したがん検診が日本で始まる。がんの有無が、ステージ0でも高精度で分かるという。がん特有の尿のにおいを好み、近寄ってくるのだ▲尿1滴を提供するだけで済み、9800円で15種類のがんを一度に調べられるのも利点だ。まずはこの検査を受け、「疑いあり」となれば本格的な検査に進む。医療費削減への期待から、企業の健康保険組合や自治体の関心も高い▲「がんを恐れて検診を受けない人は多いが、早く見つければ治る病気。この検査で日本人ががんと向き合うきっかけを提供したい」と、実用化に向け起業した広津崇亮(ひろつたかあき)博士は語る。私たちの健康を、この小さな虫が守り、支えてくれる。

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