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ストーリー

難病の「脳炎」家族と闘う 社会復帰7年がかり 「2歳」から再出発

自宅で家族と和やかな時間を過ごす柳恵子さん(右から2人目)。米国での闘病中、母の公子さん(同3人目)、兄の伸幸さん(右端)、姉の裕子さん(手前)はそれぞれ交代で看病に当たった。父の広幸さん(手前から3人目)、弟の幸人さん(同2人目)もお見舞いで渡米した=さいたま市で、竹内紀臣撮影

 手帳には、その日の出来事と四角いチェック欄付きの予定が書き込まれている。日付と曜日は手書き。その文字は勉強中というイタリア語だ。「寝る前に今日あったことを記録し、忘れないように明日以降の予定を書き入れます」。さいたま市で家族と一緒に暮らす柳恵子さん(29)にとって手帳への書き込みは重要なルーティンの一つ。「抗NMDA受容体脳炎」の後遺症である記憶障害(高次脳機能障害)を補うためのリハビリで学んだ「作業」だ。精神障害者保健福祉手帳(2級)を持っている。

 今年4月から東京出入国在留管理局(東京都港区)で働く。自宅からバス、電車を乗り継ぐ通勤時間は約2時間。配属された会計課での主な仕事は書類のチェックなどだ。「半年たって当初より多くの作業をこなせるようになりました。将来は、外国人相手に留学審査をするような仕事に取り組みたい」。そう話す柳さんは明るい表情を浮かべた。

 あの日まで「自分を失う」とは想像もしていなかった。米国に留学していた2011年10月。意味不明の言葉を連発する錯乱状態に陥り、緊急入院。やがて意識不明になり、自発呼吸もできなくなった。自分の意思とは無関係に体が動く不随意運動にも襲われた。

 診断結果は「抗NMDA受容体脳炎」。07年に、卵巣奇形腫などによる免疫反応でできた抗体が脳を「攻撃」すると解明された難病だ。以前は原因も治療法も分からなかった。国内では年間約1000人が発…

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