千曲、阿武隈川で堤防決壊 阿賀野、信濃川で氾濫 19人死亡、行方不明者多数 台風影響
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台風19号は12日から13日未明にかけて関東を縦断し、13日正午、日本の東で温帯低気圧になった。記録的大雨をもたらし、長野市では千曲川、福島県では阿武隈川、栃木県では秋山川の堤防が決壊し、住宅街などに水が流れ込んでいる。1都8県が自衛隊に災害派遣を要請した。毎日新聞のまとめでは19人が死亡し、行方不明者も多数出ている。
北陸地方整備局によると、13日午前1時ごろ、長野市穂保の千曲川が氾濫し、水が堤防からあふれ出した。その後、約70メートルにわたって堤防が決壊し、住宅地などに広範囲にわたって水が押し寄せている。自衛隊のヘリが取り残された住民の救助にあたっている。
長野市によると、グループホームなど高齢者向けの2施設で入所者ら計100人弱が孤立している。北陸地方整備局も排水ポンプ車を派遣するなど、対応を急いでいる。
また、JR東日本によると、長野市にある長野新幹線車両センターが水没し、新幹線が水につかっているのを確認した。千曲川の堤防決壊の影響とみられる。
栃木、福島両県でも堤防が決壊した。
栃木県佐野市によると、同市大橋町付近で秋山川の堤防が決壊している。消防本部によると、12日夜に住民から救助を求める119番が相次いだ。福島県鏡石町によると、同町成田地区で阿武隈川の堤防が決壊しているとみられる。
一方、新潟県などによると、阿賀野川では阿賀町などで14カ所、信濃川は津南町で水が堤防を越えて氾濫している。阿賀町では、福島県会津へつながる国道459号が寸断され、1042世帯2213人が孤立状態になっている。
千葉県市原市、群馬県富岡市、川崎市、相模原市、栃木市、栃木県足利市、同県鹿沼市、福島県南相馬市、埼玉県鳩山町、岩手県田野畑村などで計19人が亡くなり、行方不明者も相次いだ。
川崎市高津区では12日午後8時50分ごろ、マンションの1階に住む60代男性から「自宅にいるが浸水して腰までつかっている」と通報があった。警察と消防が出動し、消防のスキューバが潜って捜索し、13日未明に男性を発見したが、病院で死亡が確認された。
栃木県警によると、13日未明、栃木市の水路で女性が遺体で発見された。このほか同県足利市で女性が、同県鹿沼市で男性がいずれも乗用車の中から13日に見つかり、死亡が確認された。乗用車は水没するなどしていた。
福島県南相馬市によると、台風対応に当たった同市小高交流センターの男性主事(25)が13日午前0時半に退庁後、行方不明になり、同日朝、遺体で見つかった。
このほか、埼玉県鳩山町で町内の女性(69)が遺体で見つかった。
岩手県田野畑村では、70代とみられる男性が沢に転落した車の中から見つかり、その後、死亡が確認された。
相模原市消防局によると、13日午前0時半ごろ、同市緑区牧野で避難中の通行人が「うめき声が聞こえる」と119番した。消防が土砂に埋まった住宅から女性1人を救出したが死亡が確認された。このほか50代の女性が下半身を土砂と柱に挟まれており、救助活動を続けている。
また神奈川県警によると、13日午前8時すぎ、同市緑区の串川で成人女性と女児が意識不明の状態で見つかった。
福島県の白河広域消防本部によると、12日午後9時5分ごろ、白河市表郷河東田で40代の男性から「車が水没した。車の上にいる」と119番があった。男性は流され、行方が分からないという。
同市八竜神では12日午後8時ごろ「土砂崩れで家が2~3軒巻き込まれている」との通報があった。60代の女性が安否不明という。
気象庁は一時、静岡▽東京▽神奈川▽埼玉▽茨城▽栃木▽群馬▽山梨▽長野▽新潟▽宮城▽福島▽岩手――の13都県で重大な災害が発生する恐れがあるとして「大雨特別警報」を発令した。一つの災害で大雨特別警報を発令した都道府県の数としては過去最多。
【宮崎隆、木下翔太郎、玉井滉大、川口裕之】