メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

台風19号 県内死者4人、不明3人 被害さらに広がる可能性 /福島

郡山市の住宅地では道路の一部が陥没し、水が滝のように流れ落ちていた=福島県郡山市富久山町久保田で

[PR]

 大型で非常に強い台風19号は12~13日にかけて、観測史上最大の雨量や暴風を記録して県内に大きな爪痕を残した。県などのまとめでは、死者4人、行方不明者3人に上り、13日午前10時現在、少なくとも民家4棟が全壊、22棟が一部損壊した。床上浸水が7棟、床下浸水は19棟で、東北電力によると、最大で延べ4万3300戸が停電した。被害はさらに広がる可能性もある。【柿沼秀行】

     県は13日午前と午後、県庁で災害対策本部会議を開き、各部が被害を報告した。それによると、11日午後3時~13日午前3時の総降水量は川内村で445・5ミリ、福島市鷲倉で380・5ミリ、白河市で373ミリなど、いずれも記録的な大雨となり、ほぼ全市町村に初の大雨特別警報が出された。

     河川の氾濫や土砂崩れなどが多数発生。南相馬市は13日、小高交流センターに勤務する男性主事(25)が、小高川の近くで遺体で発見されたと発表した。郡山市大町では13日早朝、3階建て建物の屋根に男性の遺体があるのを、別の救助活動に向かっていた自衛隊員が見つけた。

     さらに、いわき市で東京消防庁の防災ヘリが女性を救助中、誤って落下させた。女性は心肺停止の状態という。

     また、二本松市百目木では土砂崩れで男女2人と連絡が取れなくなり、その後2人の遺体を発見。白河市では40代の男性が流されて行方が分からなくなったほか、1人が心肺停止で見つかった。川内村で車ごと流されたとの情報があり、いわき市でも1人が行方不明となっている。ほかに重傷2人、軽傷が9人。

     河川は阿武隈川が13日未明から朝にかけ、郡山市、本宮市や鏡石町などで氾濫するなど、午後2時現在で20市町村の25河川が決壊などし氾濫した。国見町では滝川が決壊し、近くの県北浄化センターが水没。白河市八竜神で住宅3棟に土砂が流入するなど7カ所で土砂災害が確認された。避難所は13日午前11時現在で30市町村の323カ所で開設している。

     ■郡山市

    住民は2階に避難

    郡山駅北側のバス車庫(中央右)なども浸水した=郡山駅前のビッグアイ22階から

     JR郡山駅周辺では阿武隈川や支流の逢瀬川が氾濫し、住宅や道路が広く水につかり、緊急車両のサイレンが終日、鳴り響いた。床上浸水した住宅では住民が2階に避難し、家の前の茶色い水の流れを心配そうにながめる姿が見られた。

     逢瀬川近くの市立赤木小では、校庭や周辺道路が水没して池のような状態に。阿武隈川に面した小原田2地区では、川の濁流が堤防下数メートルまで迫った。13日午前には一部で堤防から漏水し、決壊の恐れもあるとして、市がエリアメールで警戒レベル5の「災害発生情報」を出し、市民に避難を呼びかけた。【笹子靖】

     ■須賀川市

    ここまで水、上がるとは…

    自宅の片付けをする関根重則さん=福島県須賀川市小作田で

     JR水郡線川東駅近くの須賀川市小作田では、町の一部が水につかった。正午ごろでも、地区内の道路は膝の高さほどまで水につかり、住民らは片付けに追われた。

     同地区に住む関根重則さん(69)宅は、床上1メートルほどまで水が上がった。「まさか、ここまで上がるとは思わなかった」と話す。事前にテレビで台風の強さが報道されていたため、2日前から準備を開始。農機具を自宅より高い場所にある畑の中のハウスに移したり、刈り取ったばかりの新米を業者に預けたりしていた。

     雨は12日午後から降り始め、午後7時過ぎには地区の中に水が入ってきた。貴重品などを一緒に暮らす弟らと2階に運んだが、同11時ごろには床上まで浸水。雨は夜中にはやんだものの、水位は上がり続け13日午前8時ごろにピークを迎えた。地面から160センチほどまで水がきて、冷蔵庫が浮き上がるほどだったという。

     生まれてからずっとこの町に住んできた。水害が多く、1986年8月5日に起きた豪雨災害の時は床上30センチほどまで浸水した。そのため、98年に自宅を新築した際は敷地を約1・5メートルかさ上げし、その上に2階建ての家を建てた。2011年9月の新潟・福島豪雨の時は床下ギリギリまで持ちこたえており、今回は警戒したもののここまで上がるとは思っていなかったという。「大変だ」とつぶやきながら、ホースで自宅前の泥を流していた。【渡部直樹】

     ■二本松

    土砂崩れの現場で行方不明者を捜索する自衛隊員や県警機動隊員ら=福島県二本松市百目木で

    土砂崩れ 2遺体発見

     民家裏の崖が大規模に崩れ落ち、男女2人が行方不明になった二本松市百目木では、午前8時半ごろから自衛隊や消防、県警機動隊など計約100人が捜索にあたった。近所の人たちが見守る中、午後3時ごろ、民家と崖下の間付近で2人の遺体が発見された。

     亡くなったのはこの家に住む、いずれも60代の男性とその姉とみられる。

     近くの親戚の女性(69)によると、当時この家には男性の妻、長男、母、男性の姉の5人がいた。家の裏手から音がしたため、2人が外の様子を見に行ったところ、自宅裏に流れ込んできた土砂に巻き込まれたとみられる。後から女性宅に避難してきた3人はがっかりして、泣きじゃくっていたという。

     近くに住む公務員の女性(46)は12日午後9時ごろ、「近くの川があふれた」と男性から連絡を受けたという。その約1時間後、「ドンドン」と何かが物に当たるような聞き慣れない音を耳にしたという。「後々考えればあれが土砂崩れだったのかも。男性は地区の行事に積極的に参加する明るい人。こんな災害が起きて、命を守るって本当に大事なことなんだと思った」とうつむいた。

     百目木でガソリンスタンドを経営する男性(65)は、石油を配達しに何度か男性宅を訪れたという。「家の裏の崖はコンクリートで固めず、塀ブロックを積み重ねているようだった。急な崖なので土が落ちてこないか、行く度に気になっていた」と惜しんだ。【寺町六花】

     ■本宮市

    「こんな水害は初めて」

    住宅の2階から県警機動隊に救助される男性と犬=福島県本宮市本宮で

     本宮市では市中心部で多くの家屋や店舗が浸水し、消防や自衛隊などが救助に当たった。同市本宮の万世地区に住む大学職員の60代男性は、1986年8月5日の大規模な洪水「8・5水害」で家を建て替え、1・5メートルの盛り土をしていた。12日夜は強い雨を感じず「持つのかな」と思っていたところ1階が浸水した。「こんな水害は初めて。家の中の様子もまだわからない」と肩を落としていた。

     安達太良川の堤防脇にある同市本宮の南河原田地区では、会社員の加藤誠さん(65)が、飼い犬とともに住宅の2階で助けを待った。13日午前0時には水かさが増え外に出られなくなった。午前10時半ごろ県警機動隊のボートに救出され「トイレも流れず、食料もなかった。まずはご飯を食べられるかな」。

     本宮市本宮のホテルフォーシーズは1階が浸水。宿泊していた西郷村川谷の牧師、山内満寿さん(77)は「朝、外を見たら一面が水浸しでびっくりした。夫に迎えに来てもらって脱出したが、まだホテルの中には宿泊客がいて心配」と話した。

     JR本宮駅周辺の店舗では店主や従業員らが泥かきなどに追われた。親から継いで50年近くになる染物店店主の国分勝広さん(75)は、自宅兼店舗が床上から20センチほど浸水した。「過去にも台風被害はあったが、堤防を越えたのは初めて」と驚いた。【寺町六花、湯浅聖一】

     ■相馬市

    断水、全世帯に飲料水

    台風被害の片付けに追われる住民ら=福島県相馬市南飯渕地区で

     相馬市では12日夜、11カ所の避難所に最大1271人(520世帯)が身を寄せた。導水設備は真野ダムの水道管などの損傷で断水し、市が全世帯に飲料水のペットボトルの配布を始めた。宇多川の氾濫に見舞われた南飯渕地区の住民は、朝から庭先や道路、側溝などの泥かきや後片付けに追われた。会社員の横山友之さん(44)方の周辺では泥が深さ約30センチになった。横山さんは「夕方までかけて作業が一段落してよかった。床下浸水にとどまったので助かった。水道が早く回復してくれるとうれしい」と話した。【高橋秀郎】

     ■いわき市

    民家が孤立 住民を救助

    冠水した集落から水につかりながら避難する住民=福島県いわき市平下平窪で

     いわき市中心部を流れる夏井川と支流の新川が12日深夜、氾濫し、住宅地が冠水した。夏井川両岸では多数の民家が孤立、消防や警察などが取り残された住民140人以上を救助した。夏井川は平下平窪地区の橋付近で堤防が約20メートルにわたって切れた。一面茶色い水に覆われ、農業用ハウスや車が屋根だけをのぞかせていた。

     同地区の会社員、佐藤奈美さん(40)は13日朝、2歳の男児ら3人の子どもと膝まで水につかりながら、歩いて集落を脱出。前夜は平屋の自宅で寝ていた時に娘の友人から夏井川氾濫の情報が届き、2階建ての隣家の窓をたたいて逃げ込んだ。「水が来るとは想像していなかった。必死でした」と振り返った。

     川沿いに住む自営業の男性(51)は避難指示が出た12日午後10時ごろ、車で避難しようとしたが道路は冠水。2階で不安な夜を過ごした。東日本大震災の際の家屋修理のローンも残っており、「災害が増える中、広い家や庭を維持するのはもう無理。生活を見直すしかない」と肩を落とした。【乾達】

    おすすめ記事
    広告
    毎日新聞のアカウント
    ピックアップ
    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. ORICON NEWS ゴールデンボンバー、12・28新アルバム『もう紅白に出してくれない』発売 紅白出場者発表日に発表

    2. 新宿御苑、お酒ダメなはずなのに…首相「桜を見る会」だけ特例?

    3. やまぬ安倍首相のヤジ 今年だけで不規則発言20回超「民主主義の危機」

    4. 「桜を見る会」参加者が語る 「ファンの集い」と「往復する首相」

    5. 首相ヤジに「#共産党は私だ」「#共産党は仲間だ」投稿広がる

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    今週のおすすめ
    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです