台風19号 豪雨襲来、被害甚大 県内初、大雨特別警報も 7人重軽傷、2万5500戸停電 /新潟

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信濃川が氾濫し、水につかった住宅=新潟県津南町上郷で
信濃川が氾濫し、水につかった住宅=新潟県津南町上郷で

 12~13日に東日本を襲った大型の台風19号は県内でも記録的な大雨を観測し、糸魚川市、妙高市、上越市に県内初の大雨特別警報が発表された。阿賀野川や信濃川などが氾濫。長岡市や上越市でも川が堤防を越えてあふれ、住宅浸水などの被害が出た。【台風19号取材班】

 自治体や消防のまとめによると、上越市で70代男性が屋根から転落し右太ももの骨を折るなど、少なくとも7人が重軽傷を負った。

 新潟地方気象台によると、降り始めの11日から13日午前7時までの48時間降水量は妙高市樽本275ミリ▽糸魚川市能生、湯沢町271ミリなど。東北電力によると12~13日に県内各地で延べ約2万5500戸が停電。13日午後4時現在、津南町の約120戸が停電中だ。

 交通網にも影響が出た。JR東日本によると、上越新幹線は12日午後から13日午前9時23分まで運転を見合わせた。北陸新幹線は長野県内の浸水で再開のめどが立っていない。県内の在来線は12日午後2時過ぎから全線で運転を見合わせた。13日昼前後に一部が運転を再開したが、上越線などは13日も終日運転を見合わせた。

浸水に住民不安 「一睡もできず」

阿賀野川の支流・常浪川の水があふれ、水没した麒麟山公園(右側)。人が公園に近付かないよう、重機で道をふさいでいた=新潟県阿賀町津川で 拡大
阿賀野川の支流・常浪川の水があふれ、水没した麒麟山公園(右側)。人が公園に近付かないよう、重機で道をふさいでいた=新潟県阿賀町津川で
取り残され、消防のボートで救助される住民たち=信濃川右岸の新潟県長岡市今井3で 拡大
取り残され、消防のボートで救助される住民たち=信濃川右岸の新潟県長岡市今井3で

 各地で甚大な浸水被害が出ている。

 長岡市では、信濃川と太田川に挟まれた今井地域では車が水没したり、住宅が水浸しになったりする被害が発生。午後2時ごろ、消防がボートを出して住民を救助した。

 家が浸水したという長岡市今井3、会社員、井良沢亮さん(29)は「午後1時ごろ、家から出た。隣の人が逃げているのを見て、これは危ないと。うちは水につかっている3軒目なので逃げられたが、奥の方には何人か取り残されている人もいる」と話した。

 津南町上郷では信濃川が氾濫し、住宅が水につかった。信濃川の近くに住む島田均さん(59)は、12日夜に雨脚が激しくなり水かさを増す様子に恐怖を感じ、避難所の「上郷クローブ座」に避難した。「13日午前3時ごろ、必要と思われるものを持って車で避難をした。こんなことは近年、なかったと思う」と話した。避難所では近所の人たちとラジオから流れる台風情報に耳を傾け、「一睡もできなかった」という。

 町内には5カ所の避難所が設けられたが、13日正午時点での避難者は126人。人的被害は出ていない。建物被害は不明という。

 上越市では、市の中心を流れる関川の支流、矢代川の堤防が決壊。田畑が浸水したが、人的被害はなかった。

 決壊したのは同市西田中の矢代川右岸の堤防約200メートル。町内会の阿部敏雄会長(69)が午前5時半ごろ見回り確認し、市に連絡した。消防団が午前4時過ぎの現場を確認したときには異常はなかったという。水は刈り取り前の大豆畑に入ったが、排水路を通って矢代川に戻った。

 矢代川は蛇行があまりなく、大雨ですぐ暴れ川になるという。阿部会長は歴代会長から大水の時に注意するよう引き継ぎがあったといい「今回は大型の台風だということで、明るくなって見に行った」と話した。

 阿賀町では、町内を流れる阿賀野川や支流の常浪(とこなみ)川などが雨で増水し、約10カ所で氾濫した。鹿瀬(かのせ)地区では12日未明から町中心部などにつながる道が各地で水没。町によると11の集落・地域で1042世帯2213人が一時孤立したが午後4時過ぎに解消した。住宅の浸水も相次ぎ、13日午後4時までに26戸が床上浸水、11戸が床下浸水。避難者は約50人に及んだ。

 鹿瀬地区の日帰り温泉「かのせ温泉赤湯」従業員の鈴木一成さん(49)は「付近の旅館では、帰宅する宿泊客を狭い峠道に案内すると聞いた。浸水しなかったのでよかったが、早く水が引くのを待つのみです」と話した。

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