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台風豪雨で広域被害 救助と実態把握に全力を

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 台風19号は東日本を中心に記録的な豪雨をもたらした。洪水や土砂災害などの被害が極めて広範囲に及び、深刻な事態だ。

 住宅が土砂にのみ込まれるなどして、多数の死傷者や行方不明者が出ている。長野県の千曲川など河川の氾濫で住宅地が浸水し、大勢の人が建物内に取り残された。

 各地で自衛隊や警察、消防がヘリコプターやボートで捜索や救出活動に当たっている。一刻も早い住民の救助が何よりも優先される。

 台風19号は、強い勢力を保ったまま日本列島を襲った。大雨特別警報が出された地域は一時、過去最多の13都県に上った。昨年7月の西日本豪雨の11府県をも上回る規模だ。

 今回の被害の特徴は、東海から東北までの非常に広い範囲で次々に河川が氾濫したことだ。国土交通省によると、きのうの午後4時現在で、国や都県が管理する河川のうち、21河川で堤防が決壊した。全体では142河川で水が堤防を越えてあふれるなどした。

 長野市では千曲川の氾濫で長野新幹線車両センターが水没し、北陸新幹線の多数の車両が水につかった。東京電力など各電力会社の管内では最大計約52万軒で停電も起きた。

 被害は広域にわたるだけに、実態の把握が急務だ。9月に関東を直撃した台風15号では、千葉県で停電の影響や住宅被害などの把握が遅れ、対応が後手に回った。

 政府や自治体は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の情報や空撮も活用し、ライフラインや住まいなどの被害状況を早急に確認すべきだ。物資などの支援を必要としている地域をまず特定することが大切だ。

 また、まだ被害が発生していない地域でも、雨で地盤が緩み、土砂災害などのおそれがある場所があるとみられる。増水した河川の流域にはまだ洪水の危険もある。こうした地域では引き続き警戒が必要だ。

 政府は非常災害対策本部を設置した。広域災害では、国と自治体による支援態勢の構築が欠かせない。大規模な浸水被害を受けた地域では今後、災害ごみの撤去などに多くの人手も要する。政府は自治体間の調整に努め、住民の救助と生活の再建へ全力を挙げなければならない。

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