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スミレの香り

/126 馳星周 画 田中靖夫

 わたしは口を開くのも億劫(おっくう)で、手を振った。三嶋は頭を搔(か)きながら腰を上げ、ファミレスから出ていった。入れ替わりにやって来た店員にクラブハウスサンドとドリンクバーのセットを注文した。

 ドリンクバーでレモンティーを注いだ。この手の店でコーヒーを飲む気にはなれない。クラブハウスサンドを急いで胃に送り込み、レモンティーのおかわりをしようかどうかと考えていると、ホテルの内部に人影を認めた。ガラスのドア越しに見える人影の顔かたちまではわからないが、登山用のザックを背負っている。

 戸崎だと判断し、大急ぎで会計を済ませ、キャンピングカーに戻った。わたしがエンジンをかけるのと、戸崎…

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