SUNDAY LIBRARY

岡崎 武志・評『また明日』『霧中の読書』ほか

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今週の新刊

◆『また明日』群ようこ・著(幻冬舎/税別1700円)

 『また明日』と言って、子どもたちは散り散りに家へ帰って行く。変わらぬ明日が待っていると信じているからだ。群ようこの新作長編は、同じ小学校に通った5人の、ごく普通の人生を描く。

 ヤヨイは同級生のタカユキと家が隣同士。そのことでからかわれる。仲良しのユリコとは「ザ・ピーナッツ」みたいと言われた。母が年下の男と駆け落ち。婦人服メーカーに就職し、独身のまま定年まで勤め上げた。父の死で実家へ戻ると、隣家にタカユキがいた。 そのタカユキはフォークソング少年で、今は広告代理店勤務。バブルを経て、不倫の末、妻と娘に追い出された。ユリコは美人のまま、人もうらやむ家庭を持ったが、ただそれだけの人生。そしてカツオ、さらにマスコ……は?

 みな昭和32、33年の生まれ。新聞記事にならないような平凡な道のり。東京オリンピック、高度経済成長、東日本大震災と時代の方が派手だった。それなのに、なんと愛(いと)しい人たちの物語だろうか。

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