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武田 砂鉄・評『僕の人生には事件が起きない』岩井勇気・著

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納得できないことがたくさん起きている

◆『僕の人生には事件が起きない』岩井勇気・著(新潮社/税別1200円)

 芸能人って特別な存在。それなのに、いえ、別に私は普通、特別じゃありません、なんて言うものだから、それを指さして、特別じゃないなんて言う感じが特別なんだよ、と吐き捨てる。

 ハライチの「陰に隠れがちな方」が綴(つづ)ったエッセーは、自分の立場の優位性や特異性を静かに味わいながら、時に、悪巧みにも使うから信頼できる。

 岩井いわく、30歳を過ぎたくらいで人を集めて同窓会を開こうとする人は「同級生に自分の現状を聞かれて、答えたいのだ。自慢したいのだ」。仲の良かった同級生の女の子を経由して主催者に呼び出された岩井は、彼から「お、天才来た!」と言われる。自分が主役になれると思ったのにハライチの話ばかりになり、想像通りの快感を得られなかったから、岩井と話すことで「自分の価値を認めさせたかった」のだろう、と分析する。

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