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台風19号 支流に囲まれ被害大 死者2人、負傷者14人に /茨城

那珂川が氾濫して損壊した堤防=茨城県常陸大宮市野口で14日午前9時40分

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 台風19号による記録的な大雨で、那珂川と支流が氾濫して広範囲が浸水した水戸市北部では15日、ポンプ車による排水作業が続いた。被害が大きかった場所は、低地で支流に囲まれていた。県によると、桜川市で新たに1人の死亡が確認されて県内の死者は2人。浸水被害は約1400棟に上ったが、水戸市域は調査中のため含まれておらず、被害はさらに増える見通しだ。【鳥井真平、小林杏花、川島一輝】

水戸市内13町浸水「人手足りず」

 水戸市や県によると、水戸市で浸水したのは市内の13町で、飯富町や藤井町、田野町や岩根町など。浸水した一帯は、那珂川に加えて藤井川や田野川などの支流にも近く、複数の川から越水した影響を受けたとみられる。

 台風19号による水戸市の総雨量(11日午前1時~12日午後11時10分ごろ)は141・5ミリ。24時間雨量で400ミリ以上を観測した北茨城市に比べれば大幅に少ないが、川に囲まれた地形が被害を大きくした一因とみられる。水戸市のこの浸水域を含め、県内ではヘリコプターやボートで約300人が救助された。

 一帯は低地でもあり、これまでも度々水害に見舞われてきた。1986年8月の台風では、住居300戸超、農地約350ヘクタールが浸水した。この水害を経験した住民は「土地が低く、水がたまりやすい形状だ」と話す。

 水没した常磐道の水戸北スマートインターチェンジは通行できず、水戸市を通る国道123号も約4・6キロの区間が通行止めで、全面解消の見通しは立っていない。

 同市飯富町で自宅を片付けていた男性(67)は「ボランティアの人はすぐに来ないし、人手が足りない。断水もしている。これからどうしたらいいのか」と途方に暮れていた。

 86年の水害も経験した60代の女性は「この地区は水害が多い。あの時も川が氾濫し、水が家に入ってきた。水害が続くなら、もうここには住みたくない」とつぶやいた。

 県災害対策本部のまとめ(15日午後3時現在)によると、桜川市の男性(85)が12日午後8時ごろ、強風にあおられて転倒。頭を強く打って病院に搬送され、14日に死亡が確認された。負傷者は14人で、常陸大宮市の男性(71)が12日夜から行方不明となっている。

 建物被害では、常陸大宮市と常陸太田市を中心に約1400棟の浸水が確認されたが、水戸市や城里町などは、被害の全容が把握できていない。

 15日は常陸大宮市の小中学校全15校を含め、県内の小中学校21校と鬼怒商業高が臨時休校となった。16日も水戸市内の小中学校など3校と鬼怒商業高など高校3校の臨時休校がすでに決まっている。

 台風の被害に関する相談は県民相談センター(029・301・2147)へ。

常陸大宮 未明の避難「良かった」 堤防応急工事始まる 野口地区

 那珂川と久慈川の堤防が決壊した常陸大宮市。14日には付近の水はほぼ引き、堤防の応急工事が始まっていた。

 那珂川の堤防が決壊した常陸大宮市野口。「あの時、避難して本当に良かった」。川の前に住む農業、皆川晃さん(59)はかみしめるように言った。消防団の分団長でもある皆川さんは台風が接近した12日夜から、自宅のインターネットで水位をチェックしていた。

 13日午前2時ごろ、野口地区の水位は、氾濫の危険が迫る4・5メートルに達していた。外に出ると雨はやみ、川は月明かりに照らされていた。だがその頃、ネットで見た上流の栃木県大田原市での水位は、6メートルを超えていた。

 「一気に水かさが増すのではないか」。そう考えた皆川さんは消防隊員や消防団の仲間と一緒に住宅を回って住人をたたき起こし、「水が来るから逃げろ」と呼びかけた。

 皆川さんによると、野口地区では自宅に残っていた約80人が13日未明に避難したという。避難の途中に膝の上まで水が上がり、明け方に高台から見ると、一帯は湖のようだったという。【川島一輝】

家の中、膝まで泥 「当面は2階で生活」 水戸

泥を片付ける久慈川沿いの住民たち。浸水した家具(左奥)が積まれていた=茨城県常陸大宮市富岡で

 水が引いた住宅地では14日朝から、住民が自宅の片付けに追われている。

 水戸市飯富町では14日午前、避難所から戻った大畑富男さん(70)が、浸水して使えなくなった家具を外に出していた。親族が総出で手伝った。床上まで浸水して廊下に水があふれ、庭には他の家の家具やプロパンガスのボンベなどが流れてきたという。「当面は自宅2階で生活するしかない」と話した。

 久慈川の堤防が決壊した常陸大宮市の富岡地区。助川豊さん(39)は、堤防に近い両親の自宅を片付けていた。14日は雨が降り、足元はぬかるんだまま。額の汗を拭いながら、流れ込んだ泥をショベルですくっていた。家の中には膝の高さくらいまで泥が残っている。「家の修復費用はどうすればよいのか」とつぶやいた。

 同地区の鈴木進さん(70)の自宅も床上まで浸水し、親戚と一緒に14日早朝から泥を片付けた。倉庫の農機具は水につかり、草木が絡まって使えなくなった。「故障した冷蔵庫を運び出すだけでも大変な労力がいる」と疲れた表情で語った。【太田圭介、川崎健】

断水復旧めど立たず 住民ら不安 常陸大宮、大子

町民が持ち寄ったポリタンク容器に注水する自衛隊員=茨城県大子町頃藤で

 県内では15日午後2時現在、常陸大宮市の約1万2800世帯、大子町の約7300世帯などで断水している。自治体は給水場を設けて対応しているが、完全復旧のめどは立っておらず、生活に支障が出ている。

 大子町では浄水場13カ所のうち、7カ所が浸水などの被害を受けた。一部は復旧したが、15日も広範囲で断水した。同町頃藤のJR上小川駅前では、容量18リットルのポリタンクなどを持参した住民が陸上自衛隊の給水車の前に列を作った。

 容器3個に約70リットルの水を入れた男性(62)は「トイレを流すのに水を結構使うので生活が不便。いつ復旧するのか分からず不安だ」と語った。家族3人で暮らす自宅は、14日午前11時すぎから断水しているという。

 自宅の風呂が使えず、家族で常陸大宮市内の入浴施設を利用している。困っているのが自宅で洗濯ができないことだという。「コインランドリーにも行ったが、客が殺到していてあきらめた。洗濯物がたまる一方だ」と苦笑いを浮かべた。

 水戸市まで出かけてポリタンク5個を購入したという男性(42)は「風呂は親戚宅で借りているが、断水が1~2週間も続くとつらい」と早期の復旧を待ち望んだ。【佐藤則夫】

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