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台風19号 住宅街、大量の泥 「普段の生活 いつ」 /栃木

氾濫した秋山川で浸水した住宅では、住民や親戚らが総出で泥を撤去していた=栃木県佐野市赤坂町で

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室内にたまった泥や服などを片付ける石橋征央さん=栃木県佐野市赤坂町で

 台風19号で大きな被害を受けた県内の被災地では、住民が自宅の泥をかき出すなど復旧に向けた動きが始まった。ただ、住宅の浸水被害は甚大で、自宅が水没した住民からは「これからどうなるのか」と不安がる声が上がる。浸水で再開できない学校もあり、元の生活を取り戻す見通しは立っていない。

    住民ら撤去作業 佐野

     秋山川の堤防が約40メートルにわたり決壊し、濁流に襲われた佐野市赤坂町。ほぼ水が引いた住宅街に残ったのは、大量の泥だった。そこを歩くと、多くの人が不安を抱えながら、懸命に泥の撤去を進めていた。

     15日、決壊地点から約200メートルのアパート1階に住む団体職員、石橋征央さん(19)は室内の泥水の処理に追われていた。台風が近づいた12日夜、家の中に水が入り出し、避難をしようと玄関のドアを開けると一気に水が流れ込んできた。「死ぬのかもしれない」。2階の住民の部屋に入れてもらい、翌朝に自衛隊のボートで救出された。

     14日に家に戻ると、室内は泥水につかっており、電子レンジや冷蔵庫、布団などは水没。仕事を休んで昼間は自宅を片付け、避難所で寝泊まりしている。長崎県の高校を卒業し、4月に佐野に引っ越したばかりで、作業を手伝ってくれる人はいない。「処理は全然進んでいない。またこの家に住めるのか」と不安を口にした。

     同地区の会社員、吉沢強志さん(44)の自宅は1階床上まで泥水につかった。避難先の市内の実家から戻ると、玄関が泥で埋まり、スコップでかき出して中に入った。室内も泥まみれで、床上数十センチまで水が押し寄せた跡が残っていた。

     14日は親戚や友人らも加わり、約10人で泥を撤去した。布団や冷蔵庫などが泥水につかり、吉沢さんは「いつ普段の生活に戻れるのか、どのくらい費用がかかるのか」と途方に暮れた。

     同地区の公務員、大森雅史さん(54)の自宅は約40センチ床上浸水した。「家の泥を全部出せても、次はカビが不安。床が全て乾かないと消毒もできないし、ごみの処理にも時間がかかる。いつになれば元通りになるのか」と語った。

     15日時点で同市内では約50人が避難所で生活している。茂呂山老人福祉センターに避難している同市船津川町の60代の男性は「災害用のご飯は少し硬く、昨晩は普段と寝心地が違うからなのか寝られなかった」と疲れた表情で話した。

     秋山川の決壊した地点は土のうが積まれ応急処置を進めており、本格的な復旧工事は今後行われる。【玉井滉大】

    災害ごみ受け入れ開始 仮置き場に車の列 栃木、佐野市

    仮設ごみ置き場には大量のごみが積み上げられていた=栃木県栃木市川原田町の栃木市総合運動公園で

     県内の被災地では災害ごみの受け入れが始まった。栃木市では市内8カ所に災害ごみの仮置き場が設置された。市総合運動公園(同市川原田町)には15日朝、ごみを積んだ車が数百メートル列を作り、泥にまみれた畳や家電製品などを運び込んだ。

     ごみを捨てに来た同市薗部町の藤沼君江さん(64)は自宅が床上約1メートル浸水したといい、「1階の物は全部捨てないといけない。親戚が片付けを手伝ってくれているが、人手が足りない」と話した。仮置き場の設置は11月25日まで、受け入れは午前9時~午後4時。

     また、佐野市は市運動公園プール駐車場(同市赤見町)と中運動公園陸上競技場(同市中町)を一時保管場所として開放した。

     自宅が床上浸水した同市大橋町の40代の女性会社員は、勤務先が用意した軽トラック2台で畳などを運んだ。「家の中はめちゃくちゃ。使えないものを処分したいが、何往復かかるやら」と肩を落とした。被災ごみの受け入れは11月15日まで、午前9時~午後3時。土砂は戸室町の田沼グリーンセンター砂利駐車場で受け入れる。【李舜、太田穣】

    「黒羽観光やな」被災 今シーズン営業断念 大田原

    濁流に襲われ、冷蔵庫やテーブルが散乱する黒羽観光やなの店内=栃木県大田原市黒羽向町で

     大田原市黒羽向町の那珂川の河川敷に建つ「黒羽観光やな」が川の増水で被災し、運営する黒羽観光簗(やな)漁業組合(組合長・津久井富雄大田原市長)は15日、今シーズンの営業を断念した。

     同組合によると、増水は約160センチの高さに達した。屋根と骨組みは残ったが、約300人収容の食事スペースは床がめくれ、調理室の冷蔵庫や食器棚は倒れて泥まみれになった。川に仕掛けた簗も半分が流失した。10組約300人の予約も断ることになった。

     組合では近く、理事会や総会で、現地で復旧を図るか、高台に移転するかなどの対策を協議する。松浦節常務理事は「秋の観光でこれから多くの人たちに来てもらうところだったのに残念です」と肩を落とした。【柴田光二】

    秋山川堤防決壊 知事が現場視察

    約40メートルにわたって堤防が決壊した秋山川の復旧現場を視察する福田富一知事(右)=栃木県佐野市赤坂町で

     福田富一知事は15日、佐野市赤坂町の秋山川の堤防が約40メートルにわたって決壊した現場や避難所、足利市で浸水した工業団地や農家を視察した。

     秋山川では、上流で年間降水量の3分の1程度の479ミリの雨が11日からの2日間で降った経緯や、週内をめどに応急処置を終える復旧工事の進み具合について担当者から報告を受け、「(復旧の)見通しが立ったら一日も早く住民に知らせるように」と指示。報道陣に「(国の補助率を上げる)激甚災害の指定や最大限の支援を関係市町長と一緒に国に要望したい。同じ規模の降水量があったとしてもこのような被害をもたらさないよう、堤防の強化などに努めていく」と述べた。【林田七恵】

    県内の学校 休校相次ぐ

     県内の学校は15日、県南部を中心に休校や始業時間を遅らせる措置が取られた。県教委学校安全課によると、県立学校では浸水被害などで栃木と佐野の両市で計8校、公立小中学校では鹿沼、栃木、佐野、那須烏山の4市の計16校が休校した。特に校舎内の浸水が深刻な栃木市の栃木工高、学悠館高、栃木特別支援学校は18日まで休校する。

     私立では栃木、佐野、足利の3市中学、高校計8校が15日に休校した。青藍泰斗高(佐野市)や白鷗大足利高(足利市)などは18日まで休校する。【萩原桂菜】

    栃木―小山間がきょう運転再開 両毛線

     JR東日本は14日、運休していた両毛線のうち栃木―小山間について16日始発から運転を再開すると発表した。足利―岩舟間も20日からの再開を予定しているが、岩舟―栃木間は氾濫した永野川の堤防工事が終わってから軌道を整備するため、復旧まで1カ月以上かかるという。JRはバスによる代行輸送を検討している。【林田七恵】

    災害救助法適用、小山市など要請

     小山と那須烏山の両市が15日、災害救助法の適用を県に要請した。小山市によると、同市石ノ上の石ノ上橋近くなど3カ所で思川の水が堤防を越え、約300棟(暫定値)が床上や床下で浸水。最大1696人が学校などに避難した。那須烏山市では荒川が氾濫し、200棟以上で浸水。市内の取水場や浄水場が水没し、4000戸が断水した(14日正午現在)。

     県は特別警報が出た14市町に、避難所設置や住宅の応急修理などの費用を県と国が負う災害救助法の適用を決めたが、両市は対象に入っていない。【林田七恵】

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