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奇跡の傍らで

ジャズとプロの仕事 人とのコミュニケーション=荻田和秀・りんくう総合医療センター産科医

大好きなジャズと医療。人とのコミュニケーションが大事という点では同じだ マンガ「コウノドリ」(C)鈴ノ木ユウ/講談社

 僕はジャズが大好きで、演奏もします。若い頃はプロの音楽家になりたいと思ったこともあります。音楽の基礎知識を書いた楽典を買ったり、オーディションを受けたり、その道のプロの人をつかまえて質問しまくったり。

 ジャズには基本的に楽譜がありません。どの曲調、どの拍子でどんな感じで演奏するかという最低限の決まり事を押さえていれば、楽器の数や構成は関係ありません。あとは自分のイメージで演奏すればよいのです。高校時代、読みふけっていたジャズピアニスト、山下洋輔さんの著作に「弾かないのが最適な場面であれば演奏しなくてもよい」という意味のことが書かれていて、感動したものです。ジャズはそれだけ自由度が高いため、楽譜にはメロディーとコードのみ書かれています。あとはあなたの才覚でやってね、という意味でしょう。この自由さは同時に、受け持ったパートは自らの責任でやらねばならないという重圧もあります。僕がよいと思ったフレーズが、他の演奏者や聴衆にとって心地よいものであるかどうか、その兼ね合いの難しさもあります。

 最初はやりたいように演奏していました。しかし、それでは自分以外の人たちが心地よくないことの方が多かったのです。山下さんは著書でジャズは会話みたいなものだとも書いています。英語もできないのに英国人と会話を楽しむなんてできない、文法やつづり、慣用句やジョークを知らないといけないのと同じで、楽典を知らないといけないと気づき、しばらく基礎的な知識を独学しました。これではクラシックと同じです。

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