台風19号 津波堤防が雨水せき止めか 住宅地、浸水拡大 岩手・山田

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
台風被害の後片付けが続く岩手県山田町船越の田の浜地区。堤防(左)の上には車が並ぶ 拡大
台風被害の後片付けが続く岩手県山田町船越の田の浜地区。堤防(左)の上には車が並ぶ

 台風19号の被害を受けた岩手県山田町船越の田の浜地区では、東日本大震災後に整備された堤防が山から流れてきた雨水をせき止め、住宅地の浸水被害を広げたとみられている。津波を防ぐ堤防が排水の障害になった可能性がある。

 堤防は、津波から住宅を守るため、山側の高台住宅地と海側の公園の間に整備された。長さ約420メートル、高さは最も高い所で約8メートル。山側には震災で再建した住宅など約200戸があり、海側には緑地公園やコンクリート製の防潮堤が整備されている。

 台風で田の浜地区にも猛烈な雨が降った。堤防にも排水溝は設けられていたが、山からの雨水は堤防にせき止められる形になり、高台住宅地の増水は続いた。被害の大きかった住宅は2階近くまで水につかるなど、約50戸が浸水。堤防はその後、決壊した。被災した住民の一人は「排水溝が土砂や葉などでふさがれ、勢いを増す雨水をさばき切れなかったのが原因」と指摘する。

 1階天井まで水が達した介護職員、佐藤千寿子さん(35)宅は震災の津波を上回る被害を受けた。体調が優れなかった父(68)はボートで救出された。佐藤さんは「排水溝を複数設置するとか、もう少し住民の意見を取り入れてほしかった。津波だけでなく、山からの災害にも対応すべきで、調整が必要だった」と話す。

 一方、泥水のかき出し作業を手伝っていた中年の男性は「今回の台風被害は気の毒だが、田の浜は津波と向き合ってきた集落だ」と津波対策を重視する必要性を強調した。【鬼山親芳】

あわせて読みたい

注目の特集