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台風19号 鹿島台、浸水続く 大崎・吉田川氾濫 住民、不安の声 /宮城

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 台風19号による県内の被害は17日になってもまだ収束する気配をみせない。台風による県内の死者は16人、行方不明者は5人のままだが、床上浸水は1284棟、床下浸水は1582件に拡大した。県北では吉田川の氾濫による浸水が地域全体で続いており、住民たちから不安の声も聞こえてくる。【山田研】

     台風19号による吉田川の氾濫で、大崎市鹿島台志田谷地(やち)地区の浸水が続いている。旧鹿島台二小に避難する住民は17日午後6時現在で、なお149人。水害を繰り返した地域で、なぜ今回も浸水が長引くのか。同日昼、現場にあたる旧鹿島台町長を8期務めた鹿野文永さん(84)に案内してもらい、たずねた。

     「期待したほどは昨日から水が下がっていないですね」。下流側から堤防上の道路を車で進むと、鹿野さんがため息をついた。川とは反対側に広がる「水面」の下は田畑が広がる。

    かつては沼「皿の底」

     鹿野さんは、地域の歴史から説明してくれた。「奥に見える山のふもと近くまで、かつては品井沼でした」。約1800ヘクタールあった品井沼は江戸時代から干拓が進んだ。昭和時代までかかった工事で、吉田川は奥羽山脈から太平洋に直接、水を流すために築かれたという。鹿野さんは志田谷地の地形を「皿の底」と形容する。沼の時代から周囲より低い部分という意味だ。13日早朝に上流の大郷町粕川の堤防決壊で入り込んだ水が自然に流れ出なかったのはそのためだ。

     東北地方整備局北上川下流河川事務所によると、吉田川流域の浸水面積は当初の大郷町と旧鹿島台町の計5700ヘクタールから16日には1800ヘクタールにまで縮小したが、志田谷地を中心に残っているという。

     車を上流方向へ進めると、路面に鉄板を敷き、その下を何本ものホースが通る場所があった。堤防下には「国土交通省中国地方整備局三次河川国道事務所」と書かれた広島ナンバーの排水ポンプ車が止まり、たまった田畑の水をホースを通して吉田川へと流す作業をしていた。さらに上流寄りには島根ナンバーのポンプ車も。北上川下流河川事務所によると、17日朝にはポンプ車13台が鹿島台地区に集結したという。

     鹿野さんは町長時代の1986年、県域を襲った台風崩れの温帯低気圧による豪雨を経験した。「当時はもっと排水の応援が多かった記憶がある。今回は全国で災害が起きたからここに来る数が少ないのだろうか」。その時も、志田谷地は約200戸が浸水。完全に水が引くまで12日かかった。

     鹿野さんはその体験もあり、当時、国の審議会などの場で「100年に1度の洪水対策」を要望。水害が起きても迅速な避難や救援活動ができる町づくりの事業を国や県に働きかけたという。堤防を広げ、ヘリポートや土のうなど資材置き場などを備えた「水防ステーション」も設置された。今回、ステーションでは近所の農家の農機具もあまり泥をかぶらない状態で並んでいた。

    床上だけでも5回目

     堤防上には住民の姿もあった。鹿野さんと旧知の男性(86)は、妻とともに浸水前日から大崎市古川の孫の家に避難し、この日初めて様子を見に来た。眼下の自宅を見下ろしながら「まだ、家には近づけないので確認できないが、1階は浸水しているだろう」と話した。この地に生まれ、床上浸水だけでも5回目。「水が引くまでまだ10日ぐらいかかるのでは。その先、どうするのかは分からない」と不安げに話した。

     「もっと、もっとポンプ車に来てもらい、少しでも早く水をあげてほしい」。堤防からの帰り道、鹿野さんはそう願っていた。

    罹災証明申請へ家屋写真撮影を

     台風19号による大雨や暴風で家屋に被害を受けた場合、自宅を片付ける前に、被害状況を写真で記録しておくことが大切だ。

     自然災害による被災者は、被災者生活再建支援法に基づいて支援金が支給される。手続きのためには、被害の程度を証明する罹災(りさい)証明書がいる。証明書を交付してもらうための申請をする際、デジカメ、スマホ、携帯電話などで撮影した被害状況の写真が必要となる。

     写真は▽建物の全景を前後左右から▽浸水の深さが分かるように▽被害箇所が分かるように――遠景と近景をセットで撮影する。

     市町村に罹災証明書の申請書と共に写真を提出すると、担当者が現地調査で罹災証明書を発行するか判断する。

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