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社説

五輪マラソン札幌に 選手の安全優先すべきだ

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 国際オリンピック委員会(IOC)が暑さ対策を理由に東京五輪のマラソン、競歩のコースを札幌に移す案を発表した。開幕まで300日を切る中、突然の計画変更だ。

     9月末からカタールのドーハで開かれた陸上の世界選手権では昼間の猛暑を避け、深夜にマラソンと競歩を実施した。だが、女子マラソンで4割の選手が棄権するなどの問題が起きた。

     この結果にIOCのバッハ会長は「選手の健康は我々の最大の関心事だ」と危機感を表明し、五輪のコース変更を打ち出した。

     東京五輪は当初から暑さが懸念され、男女マラソンと男女20キロ競歩が午前6時、男子50キロ競歩は午前5時半開始に前倒しされた。

     9月には東京のマラソンコースで代表選考会が行われ、選手も暑さ対策に取り組んできた。今から札幌に移すとなれば、コース設定やチケットの払い戻し、警備、宿泊など運営面でも一からの調整が必要となる。

     だが、何より優先されるべきなのは選手の健康と安全管理だ。札幌では毎年8月末に北海道マラソンが開かれ、運営経験も豊富だ。選手はレース戦略の変更を余儀なくされるが、まだ戦い方を練り直すこともできる。東京での懸念が拭い去れない以上、札幌への変更はやむを得ない。

     問題も残った。これほどの重要事が一部のトップを除き、日本の関係者に伝わっていなかった。小池百合子都知事が「突然の変更には驚きを感じる」と述べたように、IOCが東京都などとの意思疎通を欠いた点は否めない。

     マラソンは「五輪の華」と呼ばれる。多くのファンが沿道で五輪に触れ、世界に開催都市を披露する絶好の機会だ。地元の頭越しにIOCの一方的発表で変更に向かうのには割り切れなさも残る。

     開催準備の状況を確認するIOCの調整委員会は月末に開かれる。関係者には「選手第一」の観点に立ち返り、情報共有を徹底するとともに、他の会場も精査してもらいたい。

     巨額の放送権料に支えられる五輪は、欧米のプロスポーツ中継に配慮して日程を組んでいる。それが真夏の東京開催につながった。酷暑期の開催が果たして適切なのか、今後議論すべき重要な課題となるだろう。

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