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社説

ハザードマップの活用 周知で被害は軽減できる

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 洪水の危険度を色分けして住民に伝えるハザードマップについて、国は市区町村に作製・公表を義務付けている。

     台風19号による豪雨被害を受けた複数の地域で、自治体の作ったハザードマップはほぼ正確に浸水の範囲を予測していたという。

     千曲川が氾濫した長野市の洪水ハザードマップもその一つだ。市内にあるJRの新幹線車両基地は4メートル以上浸水し、10編成120両もの北陸新幹線の車両が水没した。周辺は最大10メートル以上の想定浸水域だったが、その予測は生かされなかった。

     阿武隈川などの氾濫が危ぶまれていた福島県の住宅街では、その通りの事態となって多くの犠牲者が出た。行政がもっとマップへの理解を広められていれば、助かった命があったかもしれない。

     全国の対象市区町村の作製率は100%近い。だが、内容が十分に住民らへ周知されず、災害時に活用できなかったケースは少なくない。

     昨年の西日本豪雨で51人の犠牲者が出た岡山県倉敷市真備町では、想定浸水域と実際の浸水域がほぼ一致した。だが、県のその後の調査では、マップの内容を把握していた世帯は2割強にとどまった。

     自治体の多くは実物をホームページに掲載している。作製・更新時に全戸配布しているところもある。

     それでも周知が進まない背景には、災害が身近で発生するまでは関心を持てないという住民の心理もあるだろう。また、表示が複雑で分かりにくいという声もある。

     単に公開・配布しただけで終わりにしてはいけない。

     今回、マップに基づいて、洪水の危険が迫っている住民へ無料通信アプリ「LINE(ライン)」で断続的に河川の水位などの情報を通知した自治体もあった。こうした直接的な伝達は有効だ。

     地震や火山災害と比べれば、台風による豪雨は被害の時期や場所の予測が可能だ。気象庁は台風接近の前日の記者会見で大雨特別警報を出す可能性に言及していた。自治体も今後、早いタイミングでマップを確認するよう住民に求めるべきだろう。

     マップを周知することで被害は軽減できる。生かされる工夫を粘り強く続けなければならない。

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