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台風19号上陸1週間 治水防災に課題残す 多くの河川、堤防 氾濫、決壊相次ぐ /新潟

大型土のうが積まれ、仮復旧工事が進む矢代川決壊現場。左奥では流れを変える作業も急ピッチで進む=新潟県上越市で

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 東日本を襲った台風19号の上陸から19日で1週間になる。今回の台風は、県内の多くの河川や堤防が氾濫や決壊を起こし、広域的に被害を受けたことが特徴だ。21日までに応急措置が完了する見込みだが、これほどの広域被害にハード面だけで対応できるのか、今後の治水防災のあり方に課題を残している。【井口彩、浅見茂晴】

     県や北陸地方整備局によると、大雨に伴う河川の被害では、魚野川(南魚沼市)と矢代川(上越市)の2カ所で堤防が決壊。206カ所で護岸が損壊するなどした。住宅被害は床上浸水が45棟、床下浸水が249棟。さらに土砂崩れで1棟が全壊、一部破損が22棟に上った。

     矢代川では、上越市西田中で堤防が長さ約180メートルにわたり決壊した。決壊現場では18日、堤防の仮復旧工事が進み、大型土のうを3段に積んで盛り土工事を進め、残った堤防と同じ高さにしていた。堤防に当たる水流を弱めるため、近くの中州を掘削。流れを変える作業をして、予定通り21日の完了を目指す。

     一方、この場所では住宅被害はなかった。決壊により濁流が田畑に一気に流れ込んだが、多くの住宅は田畑を取り巻くように約1・5メートル高い宅地に建てられている。田畑の外周を排水路が通り、濁流は再び矢代川に戻っていく仕組みで、水浸しにはならなかった。

     上流の妙高市栗原では2013年9月、台風18号の影響で堤防が約60メートル決壊した。自治会長の阿部敏雄さん(69)によると、一昨年も下流で岸が少し流されたという。上流にダムはなく昔から暴れ川と言われる矢代川に「気は抜けない」と気を引き締めた。

     同様に堤防が決壊した魚野川、10カ所以上で越水や氾濫を起こした阿賀野川などでも応急措置が進むが、いずれも本格的な復旧のめどは立っていない。県地域振興局は来年の梅雨ごろまでには本格的な堤防を再整備したいとしているが、決壊した堤防の距離が長く、工事がどの程度の規模になるか不明なためだ。県南魚沼地域振興局の担当者は「これから雪が降ると、盛り土に水が混ざり固まらない。工事業者の安全を第一に、なるべく早期に完成させたいが……」と話した。

     県によると、河川整備は大きな川の下流から行うのが基本。県内でも台風の被害が出る以前から徐々に整備が進められてはいるが、全ての川で完璧な対策をとるのは「現実的には不可能」(県河川管理課)だ。

     そこで国や県が推進するのが、堤防の強化といったハード面と、住民の避難訓練などソフト面を両輪で進め、将来の災害に備えることだ。国は15年の関東・東北豪雨を契機に、「施設(堤防など)では防ぎきれない大洪水は必ず発生するもの」と意識を変えるよう求める「水防災意識社会再構築ビジョン」を策定した。同課担当者は「氾濫が起きないと思い込んではいけないというのが大前提で、被害を最小化するため、ハード面の整備も淡々とやっていくしかない」と話した。

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